荘子 / 則陽
季子聞而恥之,曰:「築十仞之城,城者既十仞矣,則又壞之,此胥靡之所苦也。今兵不起七年矣,此王之基也。衍亂人,不可聽也。」
新字:季子聞而恥之,曰:「築十仞之城,城者既十仞矣,則又壊之,此胥靡之所苦也。今兵不起七年矣,此王之基也。衍乱人,不可聴也。」
書き下し
季子聞きて之を恥じて曰く、「十仞の城を築く。城なる者既に十仞なるに、則ち又た之を壊す。此れ胥靡(しょび)の苦しむ所なり。今、兵起こらざること七年なり。此れ王の基なり。衍は乱人なり。聴くべからざるなり」と。
現代語訳
季子がこれを聞いて恥じて言った。「十仞の高さの城を築いたとします。城がすでに十仞の高さになったのに、また壊してしまう。これは、労役に駆り出された囚人たちが苦しむだけのことです。今、戦が起こらなくなって七年になります。これこそが王の基盤です。犀首は世を乱す人です。彼の言葉を聞いてはなりません」。
解説
七年の平和こそが王の基盤だ、という現実的な反論です。城を築いては壊すようなもの、という比喩も的確です。積み上げてきたものを、一時の怒りで壊してしまう。これは正論でしょう。ところが次の段で、この意見もまた「乱人」と切り捨てられます。攻めよと言う者も、攻めるなと言う者も、同じ土俵の上にいるからです。議論の枠そのものを疑わない限り、どちらの答えも同じ穴の中にあります。