荘子 / 則陽
犀首聞而恥之,曰:「君為萬乘之君也,而以匹夫從讎!衍請受甲二十萬,為君攻之,虜其人民,係其牛馬,使其君內熱發於背,然後拔其國。忌也出走,然後抶其背,折其脊。」
新字:犀首聞而恥之,曰:「君為万乗之君也,而以匹夫従讎!衍請受甲二十万,為君攻之,虜其人民,係其牛馬,使其君内熱発於背,然後抜其国。忌也出走,然後抶其背,折其脊。」
書き下し
犀首(さいしゅ)聞きて之を恥じて曰く、「君は万乗の君と為るなり。而るに匹夫を以て讎(あだ)に従わんとす。衍(えん)請う、甲二十万を受け、君の為に之を攻め、其の人民を虜(とりこ)にし、其の牛馬を係(つな)ぎ、其の君をして内熱して背に発せしめん。然る後に其の国を抜かん。忌(き)や出でて走らば、然る後に其の背を抶(う)ち、其の脊を折らん」と。
現代語訳
犀首がこれを聞いて恥じて言った。「あなたは万乗の大国の君主です。それなのに、一介の匹夫のように私怨で仇討ちをなさるのですか。どうか私に二十万の兵をお預けください。あなたのために斉を攻め、その人民を捕虜にし、牛馬を繋ぎ、斉王を内から熱くさせ、背中に腫れ物ができるほど苦しめましょう。そして国を落とすのです。田忌が逃げ出したら、その背中を打ち、背骨をへし折ってやりましょう」。
解説
暗殺は卑しい、堂々と戦争せよ、という提案です。犀首は、暗殺という手段を「匹夫のやること」と恥じています。彼の論理では、君主にふさわしいのは正々堂々の戦争です。しかし、やっていることは同じ復讐です。手段が大規模になっただけで、動機は変わっていません。むしろ被害は何万倍にもなる。「上品なやり方」に見せかけて、実は破壊を拡大している。この倒錯が、次の段で批判されます。
この章句が説くこと
犀首の提案暗殺より戦争手段を変えても動機は同じ破壊の拡大
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