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荘子 / 徐無鬼

卷婁者,舜也。羊肉不慕蟻,蟻慕羊肉,羊肉羶也。舜有羶行,百姓悅之,故三徙成都,至鄧之虛而十有萬家。堯聞舜之賢,舉之童土之地,曰冀得其來之澤。舜舉乎童土之地,年齒長矣,聰明衰矣,而不得休歸,所謂卷婁者也。

新字:巻婁者,舜也。羊肉不慕蟻,蟻慕羊肉,羊肉羶也。舜有羶行,百姓悅之,故三徙成都,至鄧之虚而十有万家。堯聞舜之賢,舉之童土之地,曰冀得其来之沢。舜舉乎童土之地,年齒長矣,聰明衰矣,而不得休歸,所謂巻婁者也。

書き下し

巻婁なる者は、舜なり。羊肉は蟻を慕わず、蟻は羊肉を慕う。羊肉は羶(なまぐさ)ければなり。舜に羶行有り、百姓之を悦ぶ。故に三たび徙(うつ)りて都を成し、鄧(とう)の虚(きょ)に至りて十有万家なり。堯は舜の賢なるを聞き、之を童土の地に挙げて曰く、「冀(こいねが)わくは其の来(めぐ)みの沢を得ん」と。舜は童土の地に挙げらるるも、年歯(ねんし)長じ、聡明衰えて、休帰するを得ず。所謂巻婁なる者なり。

現代語訳

『巻婁』とは、舜のことだ。羊肉が蟻を慕うのではない。蟻が羊肉を慕うのだ。羊肉が生臭いからである。舜には生臭い行い(人を惹きつける徳)があり、民衆はそれを喜んだ。だから三度住まいを移せば、そのたびに都ができ、鄧の廃墟に移った時には十万戸に達した。堯は舜が賢いと聞いて、彼を痩せた土地に登用し、「その恵みの潤いを得たい」と言った。舜は痩せた土地に登用されたが、年を重ね、聡明さも衰えて、休んで帰ることもできなかった。これが『巻婁』というものだ。

解説

「羊肉が蟻を慕うのではない。蟻が羊肉を慕うのだ」。この一句が痛烈な一段です。舜は人を惹きつける徳を持っていました。だから人が集まった。しかしそれは、羊肉が生臭いから蟻が集まるのと同じことだ、と。そして人が集まりすぎた結果、舜は年老いて衰えるまで、休むことができませんでした。人を惹きつける力は、その人を疲弊させます。慕われることは、休めなくなることでもある。徳が高いほど、休めなくなるという逆説です。

この一句を、あなたの毎日に。

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