荘子 / 庚桑楚
知者,接也;知者,謨也;知者之所不知,猶睨也。
書き下し
知なる者は、接なり。知なる者は、謨(ぼ)なり。知者の知らざる所は、猶お睨(げい)のごとし。
現代語訳
知とは、外界と接することである。知とは、思い巡らすことである。知恵ある者が知らないところは、横目で見るようなものだ。
解説
たった一行の、鋭い一段です。知恵ある者にも、知らないところがある。それは「横目で見る」ようなものだ、と。真正面から見えていないのです。人は正面を見ている時、視野の周辺はぼんやりとしか見えていません。知恵も同じで、集中して見ている領域の外は、横目でぼんやり捉えているだけです。専門を深く知っている人ほど、その周辺は見えていません。自分の視野の周縁がどこにあるか。それを自覚しているかどうかで、判断の質は変わります。