荘子 / 田子方
百里奚爵祿不入於心,故飯牛而牛肥,使秦穆公忘其賤,與之政也。有虞氏死生不入於心,故足以動人。
新字:百里奚爵祿不入於心,故飯牛而牛肥,使秦穆公忘其賤,与之政也。有虞氏死生不入於心,故足以動人。
書き下し
百里奚(ひゃくりけい)は爵禄心に入らず。故に牛を飯(か)いて牛肥ゆ。秦の穆公をして其の賎しきを忘れしめ、之に政を与えしむ。有虞氏(ゆうぐし)は死生心に入らず。故に以て人を動かすに足れり。
現代語訳
百里奚は、爵位や俸禄のことを心に入れなかった。だから牛を飼えば、牛はよく肥えた。それで秦の穆公は、彼の身分の低さを忘れて、国政を任せた。舜は、死ぬことも生きることも心に入れなかった。だから人を動かすことができた。
解説
牛飼いだった百里奚が、なぜ宰相になれたのか。答えは「爵位や俸禄を心に入れなかったから」でした。出世を考えていないから、牛を飼うことに集中できた。だから牛がよく肥えた。そして、その仕事ぶりが人の目に留まったのです。皮肉なことに、出世を狙わなかったから出世しました。次のポストを見ながら仕事をしている人の牛は、肥えません。目の前の牛に集中している人の牛が、肥えるのです。何かを得ようとする気持ちが、その何かを遠ざけることがあります。