荘子 / 山木
「何謂無始而非卒?」仲尼曰:「化其萬物而不知其禪之者,焉知其所終?焉知其所始?正而待之而已耳。」
新字:「何謂無始而非卒?」仲尼曰:「化其万物而不知其禅之者,焉知其所終?焉知其所始?正而待之而已耳。」
書き下し
「何をか始めとして卒に非ざるは無しと謂う」と。仲尼曰く、「其の万物を化して其の之を禅(ゆず)る者を知らず。焉(いず)くんぞ其の終わる所を知らん。焉くんぞ其の始まる所を知らん。正して之を待つのみ」と。
現代語訳
「始まりであって終わりでないものはない、とはどういうことですか」。孔子は言った。「万物は移り変わっていくが、誰がそれを譲り渡しているのかは分からない。どうしてその終わりを知ろうか。どうしてその始まりを知ろうか。ただ自分を正して、待つだけだ」。
解説
始まりと終わりの区別がつかない、という一段です。万物は移り変わるが、誰がバトンを渡しているのかは分からない。どこが終わりで、どこが始まりか。区別できないのです。私たちは、物事に区切りをつけたがります。これで終わり、ここから始まり、と。しかし実際には、終わりはそのまま次の始まりです。そして結論は驚くほど簡潔です。「ただ自分を正して、待つだけだ」。何が始まり何が終わりか分からないなら、できることは一つ。自分を正して、待つ。それだけです。