荘子 / 山木
孔子圍於陳、蔡之間,七日不火食。大公任往弔之,曰:「子幾死乎?」曰:「然。」「子惡死乎?」曰:「然。」
新字:孔子囲於陳、蔡之間,七日不火食。大公任往弔之,曰:「子幾死乎?」曰:「然。」「子悪死乎?」曰:「然。」
書き下し
孔子陳・蔡の間に囲まる。七日火食せず。大公任(たいこうじん)往きて之を弔いて曰く、「子は死に幾(ちか)きか」と。曰く、「然り」と。「子は死を悪(にく)むか」と。曰く、「然り」と。
現代語訳
孔子が陳と蔡の国境で包囲され、七日間、火を通したものを食べられなかった。大公任が見舞いに来て言った。「あなたは死にそうですか」。孔子は「そうです」と答えた。「あなたは死ぬのが嫌ですか」。孔子は「そうです」と答えた。
解説
たった数行の、簡潔な問答です。死にそうか。そうだ。死ぬのが嫌か。そうだ。孔子は何の飾りもなく、正直に答えます。聖人らしい達観も、強がりもありません。死は怖い、と認めるのです。この率直さが、かえって深い。私たちは、弱さを認めることを恐れます。平気なふりをし、大丈夫だと言う。しかし、怖いものは怖いと認めるところからしか、次の話は始まりません。次の段で、大公任は「死なない道」を語り始めます。