荘子 / 至楽
天下有至樂無有哉?有可以活身者無有哉?今奚為奚據?奚避奚處?奚就奚去?奚樂奚惡?
新字:天下有至楽無有哉?有可以活身者無有哉?今奚為奚拠?奚避奚処?奚就奚去?奚楽奚悪?
書き下し
天下に至楽(しらく)有りや無しや。以て身を活かすべき者有りや無しや。今奚(なに)を為し奚に拠らん。奚を避け奚に処(お)らん。奚に就き奚を去らん。奚を楽しみ奚を悪(にく)まん。
現代語訳
天下に、至高の楽しみというものはあるのか、ないのか。この身を生かしてくれるものは、あるのか、ないのか。今、何をなし、何に拠ればよいのか。何を避け、何に身を置けばよいのか。何に就き、何を去ればよいのか。何を楽しみ、何を憎めばよいのか。
解説
至楽篇は、六つの問いを立て続けに投げかけて始まります。答えは示されません。ただ問うだけです。ここには、既成の答えをいったん全部脇に置く姿勢があります。何を楽しみ、何を憎むべきか。私たちはたいてい、この問いに考えずに答えています。世間が良いとするものを楽しみ、悪いとするものを憎む。しかしそれは、自分で選んだ答えでしょうか。何が本当に自分を生かすのか。この問いを、真剣に立て直したことがあるか。篇の入口で、そう突きつけられています。