荘子 / 秋水
惠子相梁,莊子往見之。或謂惠子曰:「莊子來,欲代子相。」於是惠子恐,搜於國中三日三夜。莊子往見之,曰:「南方有鳥,其名為鵷鶵,子知之乎?夫鵷鶵發於南海而飛於北海,非梧桐不止,非練實不食,非醴泉不飲。於是鴟得腐鼠,鵷鶵過之,仰而視之曰:『嚇!』今子欲以子之梁國而嚇我邪?」
新字:恵子相梁,荘子往見之。或謂恵子曰:「荘子来,欲代子相。」於是恵子恐,捜於国中三日三夜。荘子往見之,曰:「南方有鳥,其名為鵷鶵,子知之乎?夫鵷鶵発於南海而飛於北海,非梧桐不止,非練実不食,非醴泉不飲。於是鴟得腐鼠,鵷鶵過之,仰而視之曰:『嚇!』今子欲以子之梁国而嚇我邪?」
書き下し
恵子梁に相たり。荘子往きて之に見えんとす。或るひと恵子に謂いて曰く、「荘子来たる。子に代わりて相たらんと欲す」と。是に於いて恵子恐れ、国中を捜すこと三日三夜なり。荘子往きて之に見えて曰く、「南方に鳥有り。其の名を鵷鶵(えんすう)と為す。子之を知るか。夫れ鵷鶵は南海より発して北海に飛ぶ。梧桐に非ざれば止まらず、練実(れんじつ)に非ざれば食らわず、醴泉(れいせん)に非ざれば飲まず。是に於いて鴟(ふくろう)腐鼠を得たり。鵷鶵之を過ぐ。仰ぎて之を視て曰く、『嚇(かく)』と。今子は子の梁国を以て我を嚇せんと欲するか」と。
現代語訳
恵子が梁の宰相であった。荘子が会いに行こうとした。ある者が恵子に言った。「荘子がやって来ます。あなたに代わって宰相になろうというのです」。そこで恵子は恐れて、国じゅうを三日三晩捜索した。荘子は会いに行って言った。「南方に鳥がいる。その名を鵷鶵という。あなたは知っているか。鵷鶵は南海から飛び立って北海へ飛ぶ。梧桐でなければ止まらず、練の実でなければ食べず、甘い泉でなければ飲まない。ところがフクロウが腐った鼠を拾った。そこへ鵷鶵が通りかかった。フクロウは見上げて『ケッ』と威嚇した。今あなたは、その梁の国とやらで、私を威嚇しようというのか」と。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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荘子・秋水荘子恵子と濠梁(ごうりょう)の上に遊ぶ。荘子曰く、「儵魚(しゅうぎょ)出でて遊ぶこと従容(しょうよう)たり。是れ魚の楽しみなり」と。恵子曰く、「子は魚に非ず。安(いず)くんぞ魚の楽しみを知らんや」と。荘子曰く、「子は我に非ず。安くんぞ我の魚の楽しみを知らざるを知らんや」と。恵子曰く、「我は子に非ず。固より子を知らず。子は固より魚に非ざるなり。子の魚の楽しみを知らざること全(まった)し」と。荘子曰く、「請う、其の本に循(したが)わん。子曰く『汝安くんぞ魚の楽しみを知らん』と云う者は、既已(すで)に吾の之を知るを知りて我に問えるなり。我は之を濠上(ごうじょう)に知れるなり」と。
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『長短経』用無用古人言える有りて曰く「鳥を得る者は、羅の一目なり。然れども一目の羅を張らば、終に鳥を得ること能わず。鳥の能く遠く飛ぶ所以の者は、六翮の力なり。然れども衆毛の助け無くんば、則ち飛ぶこと遠きこと能わず」と。是を以て之を推せば、無用の用為ること大なり。故に恵子、荘子に謂いて曰く「子の言は無用なり」と。荘子曰く「無用を知りて始めて与に用を言うべし。夫れ天地は広く且つ大ならざるに非ず。人の用うる所は、足を容るるのみ。然らば則ち足を削りて之を墊し黄泉に至らば、人尚お用有らんか」と。恵子曰く「無用なり」と。荘子曰く「然らば則ち無用の用為ることも、亦た明らかなり」と。昔、陳平は智余り有りて疑われ、周勃は質樸にして忠にして信ぜらる。
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荘子・山木荘周雕陵(ちょうりょう)の樊(まがき)に遊ぶ。一の異鵲(いじゃく)の南方より来たる者を睹(み)る。翼の広さ七尺、目の大いさ運寸(うんすん)。周の顙(ひたい)に感(ふ)れて栗林に集(とま)る。荘周曰く、「此れ何の鳥ぞや。翼殷(さかん)なるも逝(と)ばず、目大なるも覩(み)ず」と。裳を蹇(かか)げ躩歩(かくほ)し、弾を執りて之を留む。一蝉の方に美蔭を得て其の身を忘るるを睹る。螳蜋(とうろう)翳(かげ)を執りて之を搏(う)たんとし、得るを見て其の形を忘る。異鵲従いて之を利とし、利を見て其の真を忘る。荘周怵然(じゅつぜん)として曰く、「噫(ああ)、物は固より相累(あいわずら)わす。二類は相召くなり」と。弾を捐(す)てて反り走る。虞人(ぐじん)逐いて之を誶(せ)む。
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説苑・雜言梁の相死す。恵子梁に之かんと欲し、河を渡りて遽かに水中に墮つ。船人之を救う。船人曰く、「子何に之かんと欲して遽かなるか」と。曰く、「梁に相無し、吾往きて之に相たらんと欲す」と。船人曰く、「子は船橶の間に居りて困しむ、我無くんば則ち子死せん、子何ぞ能く梁に相たらんや」と。惠子曰く、「子は艘楫の間に居るに則ち吾子に如かず。国家を安んじ社稷を全うするに至りては、子の我に比するは、蒙蒙として未だ視ざるの狗のごときのみ」と。
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荘子・徐無鬼荘子葬を送り、恵子の墓を過ぐ。顧みて従者に謂いて曰く、「郢人(えいひと)堊(あく)を其の鼻端に慢(ぬ)ること蠅翼(ようよく)の若し。匠石をして之を斲(き)らしむ。匠石斤(おの)を運らして風を成し、聴(まか)せて之を斲る。堊を尽くして鼻を傷つけず。郢人は立ちて容を失わず。宋の元君之を聞き、匠石を召して曰く、『嘗みに寡人の為に之を為せ』と。匠石曰く、『臣は則ち嘗て能く之を斲れり。然りと雖も、臣の質は死して久し』と。夫子の死してより、吾は以て質と為す無し。吾は与に之を言うこと無し」と。
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