荘子 / 刻意
故曰:夫恬惔寂寞,虛無無為,此天地之平而道德之質也。
新字:故曰:夫恬惔寂寞,虚無無為,此天地之平而道徳之質也。
書き下し
故に曰く、夫れ恬惔(てんたん)寂寞(せきばく)、虚無無為なるは、此れ天地の平にして道徳の質なり。
現代語訳
だから言うのだ。淡々として静かで、寂しいほどに何もない。何もせず、あるがままである。これこそ天地の水平であり、道と徳の本質である。
解説
たった一行の一段です。淡々として、静かで、寂しいほどに何もない。それが天地の水平だと言い切ります。「平」という字が印象的で、水平器のように、まったく傾いていない状態を指しています。私たちは何かを足し、何かを主張し、何かで飾ろうとします。しかし本質は、そのどれでもない。何もない状態こそが基準なのです。装飾や努力の跡がないことを、私たちは物足りなく感じます。しかし、傾いていないことこそが最も難しい。この短さ自体が、その主張を体現しています。