荘子 / 天運
孔子謂老聃曰:「丘治《詩》、《書》、《禮》、《樂》、《易》、《春秋》六經,自以為久矣,孰知其故矣,以奸者七十二君,論先王之道而明周、召之跡,一君無所鉤用。甚矣夫!人之難說也,道之難明邪!」
新字:孔子謂老聃曰:「丘治《詩》、《書》、《礼》、《楽》、《易》、《春秋》六経,自以為久矣,孰知其故矣,以奸者七十二君,論先王之道而明周、召之跡,一君無所鉤用。甚矣夫!人之難説也,道之難明邪!」
書き下し
孔子老聃に謂いて曰く、「丘は《詩》《書》《礼》《楽》《易》《春秋》の六経を治むること、自ら以て久しと為す。孰(つらつ)ら其の故を知れり。以て七十二君に奸(もと)め、先王の道を論じて周・召の跡を明らかにす。一君も鉤用(こうよう)する所無し。甚だしいかな。人の説き難きや、道の明らかにし難きや」と。
現代語訳
孔子が老聃に言った。「私は『詩経』『書経』『礼記』『楽経』『易経』『春秋』の六経を修めて、自分では長いこと取り組んできたつもりです。その内容も隅々まで知り尽くしました。それをもって七十二人の君主に売り込み、先王の道を論じ、周公や召公の事績を明らかにしました。しかし一人の君主も、私を用いてはくれませんでした。ひどいものです。人を説得するのは難しく、道を明らかにするのは難しいものですね」。
解説
孔子の嘆きです。六経を修め、隅々まで知り尽くし、七十二人の君主に説いた。それでも誰一人、用いてくれなかった。この数字が切ない。七十二回、断られたのです。ここで孔子は「人は説得しにくい」「道は明らかにしにくい」と、相手や対象のせいにしています。しかし次の段で、老子はそこを突きます。うまくいかない時、私たちも同じことを言います。相手が分かってくれない、この考えは伝わりにくい、と。しかし本当に問題は、相手や内容の側にあるのでしょうか。七十二回断られたなら、疑うべきは自分の側かもしれません。
この章句が説くこと
七十二君人之難説相手のせいにする断られ続ける
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