荘子 / 在宥
世俗之人,皆喜人之同乎己,而惡人之異於己也。同於己而欲之、異於己而不欲者,以出乎眾為心也。夫以出於眾為心者,曷嘗出乎眾哉!因眾以寧所聞,不如眾技眾矣。而欲為人之國者,此攬乎三王之利,而不見其患者也。此以人之國僥倖也,幾何僥倖而不喪人之國乎!其存人之國也,無萬分之一;而喪人之國也,一不成而萬有餘喪矣。悲夫!有土者之不知也!
新字:世俗之人,皆喜人之同乎己,而悪人之異於己也。同於己而欲之、異於己而不欲者,以出乎眾為心也。夫以出於眾為心者,曷嘗出乎眾哉!因眾以寧所聞,不如眾技眾矣。而欲為人之国者,此攬乎三王之利,而不見其患者也。此以人之国僥倖也,幾何僥倖而不喪人之国乎!其存人之国也,無万分之一;而喪人之国也,一不成而万有余喪矣。悲夫!有土者之不知也!
書き下し
世俗の人は、皆な人の己に同じきを喜びて、人の己に異なるを悪(にく)むなり。己に同じきを之れ欲し、己に異なるを欲せざる者は、衆に出づるを以て心と為せばなり。夫れ衆に出づるを以て心と為す者は、曷(なん)ぞ嘗て衆に出でんや。衆に因りて聞く所を寧んずるは、衆技(しゅうぎ)の衆きに如かず。而るに人の国を為(おさ)めんと欲する者は、此れ三王の利を攬(と)りて、其の患いを見ざる者なり。此れ人の国を以て僥倖(ぎょうこう)するなり。幾何(いくばく)か僥倖して人の国を喪わざらんや。其の人の国を存するや、万分の一も無し。而して人の国を喪うや、一も成らずして万有余喪せん。悲しいかな、土を有つ者の知らざるや。
現代語訳
世俗の人は、みな自分と同じ意見の者を喜び、自分と違う意見の者を憎む。自分と同じであることを望み、自分と違うことを望まないのは、人より抜きん出たいという心があるからだ。しかし、人より抜きん出たいという心を持つ者が、本当に人より抜きん出たためしがあるだろうか。多くの人に合わせて、自分の聞いたことを安泰にしようとするのは、多くの人の多様な技を活かすことに及ばない。それなのに人の国を治めようとする者は、三代の王が得た利益ばかりを見て、その弊害を見ていない。これは、他人の国を賭けて幸運を当てにしているようなものだ。運任せをして、他人の国を失わずにいられるだろうか。他人の国を保てる見込みは、万分の一もない。ところが他人の国を失う場合は、一つも成し遂げられないまま、一万以上のものを失うことになる。悲しいことだ。国土を持つ者が、それを知らないとは。
解説
この章句が説くこと
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