荘子 / 養生主
指窮於為薪,火傳也,不知其盡也。
新字:指窮於為薪,火伝也,不知其尽也。
書き下し
指(ゆび)は薪(たきぎ)を為すに窮(きわ)まるも、火は伝わりて、其の尽くるを知らざるなり。
現代語訳
薪をくべる指の働きには、いつか限りが来る。しかし火は次の薪へと伝わっていき、尽きることを知らない。
解説
養生主篇を締めくくる、たった一行の一段です。薪は燃え尽き、くべる指もいつか力尽きる。しかし、火は次の薪に移り、燃え続ける。ここには、個体の死を超えて受け継がれていくものへの、静かな信頼があります。荘子は不老不死を説いているのではありません。自分という薪はいずれ燃え尽きるが、それでいいのだと言っているのです。大切なのは、火を絶やさずに次へ渡すこと。人に教えることも、書き残すことも、まさにこれです。自分がいつまでも続けられるわけではない。しかし、灯した火は次の誰かに移り、燃え続けます。自分が燃え尽きることを恐れるより、渡すべき火を持っているかを問うべきなのです。