信心銘 / 第二十五章
言語道斷 非去來今
新字:言語道断 非去来今
書き下し
言語(ごんご)道斷(どうだん)、去來今(こらいこん)に非(あら)ず。
現代語訳
言葉の道は断たれている。過去にも未来にも現在にも属さない。
解説
全一四六句の締めくくりが、わずか八字である。「言語道斷」は現在の日本語では「もってのほか」の意で使われるが、原義はここにある通り、言葉の通う道が断たれているということだ。二十四章にわたって言葉を尽くしてきた書が、最後にその言葉ごと道を断つ。「非去來今」——去(過去)・來(未来)・今(現在)のいずれでもない。第二十二章で「一念萬年」と時間の長短を外したのに続き、ここで時制そのものが外される。いつのことでもないから、いつか到達する話でもない。書き終えたそばから自分の言葉を無効にして去る、この幕の引き方こそが信心銘の性格をよく表している。読者の手には何も残らない。残らないことが、この書の与えるものである。
この章句が説くこと
言語道断去来今時制結び