信心銘 / 第二十一章
要急相應 唯言不二 不二皆同 無不包容 十方智者 皆入此宗
新字:要急相応 唯言不二 不二皆同 無不包容 十方智者 皆入此宗
書き下し
急(きゅう)に相應(そうおう)せんと要(ほっ)せば、唯(た)だ不二(ふに)と言(い)ふのみ。不二(ふに)は皆(みな)同(おな)じく、包容(ほうよう)せざる無(な)し。十方(じっぽう)の智者(ちしゃ)、皆(みな)此(こ)の宗(しゅう)に入(い)る。
現代語訳
急いでかなおうと思うなら、ただ「不二」と言うほかない。不二はすべてを同じくし、包みこまないものが無い。あらゆる方角の智者は、みなこの根本に入る。
解説
第十一章で「轉急轉遲」——焦れば遅くなると言った書が、ここで「要急相應」と切り出すのは一見矛盾している。だが中身は正反対ではない。急ぎたいならこれ一語だ、と手数を一つに絞っているのであって、手数を増やしていない。その一語が「不二」である。二つに分けないというだけの語が、なぜ全体を覆えるのか。「無不包容」——分けないのだから、排除される側が生まれない。包容力を努力で広げるのではなく、線を引かないから初めから外側が無い。「十方智者、皆入此宗」は、この一点だけがすべての智者の共通の入口だという宣言であり、二十四章にわたる議論が「不二」の二字に収束することを示している。
この章句が説くこと
不二包容十方宗