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史記 / 孝武本紀

少翁鬼神の方を以て上に見ゆ。上幸する所の王夫人有り、夫人卒す、少翁方術を以て夜王夫人の貌を致すと云ふ。是に於て乃ち少翁を拝して文成将軍と為し、賞賜甚だ多し。居ること歳餘、其の方益ます衰へ、神至らず。乃ち帛書を為りて以て牛に飯はせ、詳りて知らずとし、此の牛の腹中に奇有りと言ふ。殺して之を視るに、書を得たり、天子之を疑ふ。其の手書を識る者有り、之を問ふに、果たして偽書なり。是に於て文成将軍を誅して之を隠す。

新字:少翁鬼神の方を以て上に見ゆ。上幸する所の王夫人有り、夫人卒す、少翁方術を以て夜王夫人の貌を致すと云ふ。是に於て乃ち少翁を拝して文成将軍と為し、賞賜甚だ多し。居ること歳余、其の方益ます衰へ、神至らず。乃ち帛書を為りて以て牛に飯はせ、詳りて知らずとし、此の牛の腹中に奇有りと言ふ。殺して之を視るに、書を得たり、天子之を疑ふ。其の手書を識る者有り、之を問ふに、果たして偽書なり。是に於て文成将軍を誅して之を隠す。

書き下し

少翁鬼神の方を以て上に見ゆ。上幸する所の王夫人有り、夫人卒す、少翁方術を以て夜王夫人の貌を致すと云ふ。是に於て乃ち少翁を拝して文成将軍と為し、賞賜甚だ多し。居ること歳餘、其の方益ます衰へ、神至らず。乃ち帛書を為りて以て牛に飯はせ、詳りて知らずとし、此の牛の腹中に奇有りと言ふ。殺して之を視るに、書を得たり、天子之を疑ふ。其の手書を識る者有り、之を問ふに、果たして偽書なり。是に於て文成将軍を誅して之を隠す。

現代語訳

「偽りは、続けるほどにボロが出て、いずれ露見する——そして、恥を隠せば、同じ過ちを繰り返す」——武帝を欺いた、もう一人の方士・少翁の顛末を描いた一段です。李少君の次に現れたのは、少翁(しょうおう)という方士でした。彼は、鬼神を操る術で、武帝に取り入ります。ちょうど、武帝が寵愛していた王夫人が亡くなったところで、少翁は、「術によって、夜、王夫人の(亡霊の)姿を、呼び出してみせましょう」と申し出ました。(暗がりで、それらしい影を見せる、というトリックです。)武帝は、(帳の中から、それを見て)すっかり信じ込み、少翁を「文成将軍」に任じ、莫大な褒賞を与えました。ところが——偽りは、長くは続きません。一年余りが経つと、少翁の術は、次第に効かなくなり(其方益衰)、神仙も現れなくなりました。追い詰められた少翁は、インチキな「奇跡」を、でっち上げます。絹に文字を書き、それを牛に食べさせて、(知らないふりをして)「この牛の腹の中に、不思議なものがあります」と言い出したのです。牛を殺して腹を開くと、確かに、絹の書が出てきました。しかし、その内容が、あまりに怪しかったため、武帝は、疑いを抱きます。そして、その筆跡を見て、「これは、少翁の書いた字だ」と見抜いた者がいて、問いただすと、案の定、偽物だと露見したのです。武帝は、少翁を処刑しました。——しかし、ここが肝心です。武帝は、この一件を、「隠した(隱之)」のです。(自分が、こんなインチキに騙されていた、という)恥を、公にせず、隠しました。そして、その恥から学ばなかったために、武帝は、この後も、欒大や公孫卿といった、新たな方士に、繰り返し、騙され続けることになるのです。ここに、偽りと、失敗からの学びについての教訓があります。第一に、偽りやごまかしは、続けるほどに、必ずボロが出て(其方益衰)、いずれ露見するということ。少翁のインチキは、術が効かなくなり、苦し紛れの捏造で、あっけなく露見した。偽りは、長続きしない。第二に、そして、最も重要なのは——騙されたり、失敗したりした「恥」を、隠して、なかったことにすれば、そこから学べず、同じ過ちを、繰り返すということ(誅之而隱之 → 後も騙され続けた)。恥を隠すことは、失敗を教訓にする機会を、自ら捨てることである。第三に、失敗や、騙された経験は、隠すのではなく、直視し、教訓として、次に活かすこと。組織や人生で、偽りやごまかしは続けるほどボロが出て必ず露見すると知ること、騙されたり失敗したりした恥を隠せば同じ過ちを繰り返すと自覚すること、そして失敗を隠さず直視し教訓として次に活かすこと——少翁の顛末と武帝の隠蔽は、失敗から学ぶことの大切さを教えます。

解説

あなたは、偽りやごまかしが、続けるほどに必ずボロが出て、いずれ露見するものだと、理解していますか?騙されたり、失敗したりした「恥」を、隠して、なかったことにすれば、そこから学べず、同じ過ちを繰り返してしまうことを、自覚できていますか?自分の失敗や、騙された経験を、恥として隠すのではなく、直視し、教訓として、次に活かすことができていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

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