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史記 / 孝景本紀

後三年正月、孝景皇帝崩ず。遺詔して諸侯王より以下民の父後為るに至るまで爵一級を賜ひ、天下戸ごとに百銭。宮人を出だして其の家に帰らしめ、復して与る所無からしむ。

書き下し

後三年正月、孝景皇帝崩ず。遺詔して諸侯王より以下民の父後為るに至るまで爵一級を賜ひ、天下戸ごとに百銭。宮人を出だして其の家に帰らしめ、復して与る所無からしむ。

現代語訳

「去り際にこそ、人々への思いやりを示し、負担を残さず、囲い込んだ人を解き放つ」——景帝が、その最期に下した、思いやりある遺言を描いた一段です。景帝は、その治世の終わり、崩御に際して、遺詔(ゆいしょう=最後の勅命)を下しました。その内容は、自らの死という、最も個人的で悲しい場面においてすら、人々への思いやりに満ちたものでした。第一に、諸侯王から、庶民で家の跡継ぎとなる者に至るまで、(喪の悲しみの中にも喜びがあるようにと)爵位を一段、与えました。また、天下の家ごとに、百銭を下賜しました。自らの死を、人々への恵みの機会としたのです。第二に、そして、特に心を打つのは、次の措置です。「宮中の女性たち(宮人)を、(宮中の囲いから)解き放って、それぞれの実家へと帰らせ、その者たちには、(もはや宮中への)いかなる義務も、負わせないようにした(出宮人歸其家、復無所與)」。皇帝に仕えるため、宮中に囲われていた多くの女性たちを、自らの死とともに、自由の身にして、家族のもとへ帰してやったのです。しかも、その後の義務まで、免除して。自らが去るにあたり、これまで囲い込んでいた人々を、しがらみから解き放ち、自由にしてやる——その、最後の思いやりです。ここに、去り際についての教訓があります。第一に、物事の去り際・引き際にこそ、その人の、人柄と思いやりが、最もよく表れるということ。景帝は、自らの死という場面ですら、人々への恵みと配慮を、忘れなかった。去り際の振る舞いが、その人の生涯の総決算となる。第二に、去るにあたって、後に、負担やしがらみを、残さないようにすること(復無所與)。景帝は、宮人たちを、義務からも解放した。自分が去った後、周囲に重荷を残さない配慮。第三に、これまで、自分のもとに囲い込み、束縛していた人々を、去り際に、解き放ち、自由にしてやる度量(出宮人歸其家)。組織や人生の引き際で、去り際にこそ人々への思いやりを示すこと、後に負担やしがらみを残さない配慮を持つこと、そして束縛していた人を解き放ち自由にしてやる度量を持つこと——景帝の遺詔は、思いやりある去り際のあり方を教えます。

解説

あなたは、物事の去り際・引き際にこそ、その人の人柄や思いやりが最もよく表れることを、意識できていますか?何かを去るにあたって、後に残る人々に、負担やしがらみ、重荷を残さないように配慮できていますか?これまで自分のもとに囲い込み、束縛してきた人々を、去り際に、しがらみから解き放ち、自由にしてやる度量を、持てていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

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