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史記 / 呂太后本紀

高后已に葬り、諸呂用事して権を擅にし、乱を為さんと欲す。朱虚侯劉章・絳侯周勃・丞相陳平等相与に諸呂を誅す。大臣相与に陰かに謀り、代王を迎へて立つ、是を孝文皇帝と為す。

書き下し

高后已に葬り、諸呂用事して権を擅にし、乱を為さんと欲す。朱虚侯劉章・絳侯周勃・丞相陳平等相与に諸呂を誅す。大臣相与に陰かに謀り、代王を迎へて立つ、是を孝文皇帝と為す。

現代語訳

「後ろ盾を頼りに権勢を独占し、根本の秩序に背いた者は、その後ろ盾を失えば滅ぶ」——呂氏一族の、あっけない滅亡を描いた、この篇の結末です。呂太后は、生前、実の一族である呂氏を、(白馬の盟に反して)次々と王に取り立て、軍の要職を独占させ、劉氏の天下を、呂氏のものにしようと画策しました。呂太后が存命の間は、その絶大な権勢を後ろ盾に、呂氏一族は、権力をほしいままにしていました。しかし——その繁栄は、ただ、呂太后という、たった一つの後ろ盾の上に、成り立っていたにすぎませんでした。呂太后が亡くなり、葬られると、状況は一変します。後ろ盾を失った呂氏一族は、なお権力に固執し、さらなる専横をたくらみました。すると、それまで機をうかがっていた、劉氏の一族(朱虚侯劉章)と、高祖以来の重臣たち(絳侯周勃、丞相陳平)が、ついに立ち上がり、力を合わせて、呂氏一族を、一挙に討ち滅ぼしたのです。まさに、高祖の遺した「白馬の盟(劉氏でない者が王となれば、天下が共に討つ)」の、その通りになりました。そして重臣たちは、ひそかに協議して、(劉氏の血を引く、人望ある)代王を迎えて、新たな皇帝に立てました。これが、後に名君と讃えられる、孝文皇帝(文帝)です。ここに、権勢と没落についての教訓があります。第一に、たった一つの後ろ盾(呂太后)だけを頼りに、権勢を独占した者は、その後ろ盾を失った途端、脆くも崩れ去るということ。実力や、人々からの正当な支持という土台がなければ、権勢は、後ろ盾とともに、消え去る運命にある。第二に、組織の根本の秩序(白馬の盟)に背いて、無理に権力を独占した者は、いずれ、その秩序を守ろうとする者たちによって、討たれるということ。根本に背いた者は、根本によって裁かれる。第三に、権勢のあるうちに増長し、周囲の反感を蓄積した者ほど、いざ後ろ盾を失えば、一斉に反撃を受けるということ(諸呂の一挙の滅亡)。組織や人生で、一つの後ろ盾だけに頼った権勢の脆さを知ること、根本の秩序に背いて権力を独占すればいずれ裁かれると自覚すること、そして権勢のあるうちに増長して反感を蓄積しないこと——呂氏一族の滅亡は、後ろ盾に頼った権勢の儚さを教えます。

解説

あなたの今の立場や影響力は、たった一つの後ろ盾(特定の上司・庇護者)だけに頼った、脆いものになっていないでしょうか——実力や、周囲からの正当な支持という土台を、築けていますか?組織の根本の秩序やルールに背いて、無理に権力や利益を独占すれば、いずれそれを守ろうとする者たちによって裁かれることを、理解していますか?権勢や影響力のあるうちに増長して、周囲の反感を蓄積していないか——後ろ盾を失ったとき一斉に反撃を受ける危うさに、気づけていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

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