史記 / 貨殖列伝
豈非道之所符,而自然之驗邪?《周書》曰:「農不出則乏其食,工不出則乏其事,商不出則三寶絕,虞不出則財匱少。」財匱少而山澤不辟矣。此四者,民所衣食之原也。原大則饒,原小則鮮。上則富國,下則富家。貧富之道,莫之奪予,而巧者有餘,拙者不足。
新字:豈非道之所符,而自然之験邪?《周書》曰:「農不出則乏其食,工不出則乏其事,商不出則三宝絶,虞不出則財匱少。」財匱少而山沢不辟矣。此四者,民所衣食之原也。原大則饒,原小則鮮。上則富国,下則富家。貧富之道,莫之奪予,而巧者有余,拙者不足。
書き下し
豈に道の符する所にして、自然の験に非ずや。周書に曰く、「農出でざれば則ち其の食を乏しくし、工出でざれば則ち其の事を乏しくし、商出でざれば則ち三宝絶え、虞出でざれば則ち財匱少す」と。財匱少すれば山沢辟(ひら)かれず。此の四者は、民の衣食する所の原なり。原大なれば則ち饒かに、原小なれば則ち鮮し。上は則ち国を富まし、下は則ち家を富ます。貧富の道は、之を奪予する莫くして、巧者は余り有り、拙者は足らず。
現代語訳
これこそ道にかない、自然の理のあかしではなかろうか。周書に「農民が作物を出さなければ食べ物が乏しくなり、職人が製品を出さなければ仕事の道具が乏しくなり、商人が品物を出さなければ三つの宝(食・物・財)の流れが絶え、山沢の管理人が産物を出さなければ財物が乏しくなる」とある。財物が乏しくなれば、山や沢は開発されなくなる。この四者は、民の衣食の源である。源が大きければ豊かになり、源が小さければ乏しくなる。上は国を富ませ、下は家を富ませる。貧富の道は、誰かが奪ったり与えたりするものではなく、巧みな者には余りがあり、拙い者には足りないのである。
解説
この章句が説くこと
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『家道訓』巻之四・用財上一人もし富貴にして、たからを多く貯へもたば、是天より我一人にあつくし給ふにあらず、多く人をすくはしめんために、我にさづけたまふとおもひて、天命にしたがひて、つねに仁愛の心をもちて、貧苦なる人をめぐみ、飢饉する者をすくひて、善を行ふを以て楽とすべし。是天の御心にそむかざるなり。斯くのごとくならば、富貴なるかひありて、大なる楽なるべし。財を多くもちても、我が身ひとりの俸養におごり、人にほどこさずして善を行はざるは、無用の物なり。石瓦を多くもてるに同じ。かかる人を守銭虜と古人の云ひけんもむべなり。財をもてるかひなくして、貧賤の人と同じ。一財を用ふる道をしらで貧窮なれば、父母をやしなふにうすく、人に与ふべき物をあたへず、人を恵むことなりがたく、人のおひめをかへさず、廉恥の道行はれがたく、人の恵を受けてむくいず。官となりても、貧なれば民をむさぼりやすく、忠義をつとめがたし。礼義にそむき、心術に害あること、皆是困窮よりおこる。困窮は倹約ならざるよりおこれり。然る故に、倹約は家ををさむる要道なり。
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