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史記 / 亀策列伝

太史公曰、古より聖王将に国を建て命を受け、事業を興動せんとするに、何ぞ嘗て卜筮を宝として以て善を助けざらんや。夫れ策を摓り数を定め、亀を灼き兆を観る、変化窮まり無し、是を以て賢を択びて占を用ゐる、聖人事を重んずる者と謂ふ可きか。王者諸疑を決定するに、参ふるに卜筮を以てし、断ずるに蓍亀を以てす、易へざるの道なり。

書き下し

太史公曰く、古より聖王将に国を建て命を受け、事業を興動せんとするに、何ぞ嘗て卜筮を宝として以て善を助けざらんや。夫れ策を摓り数を定め、亀を灼き兆を観る、変化窮まり無し、是を以て賢を択びて占を用ゐる、聖人事を重んずる者と謂ふ可きか。王者諸疑を決定するに、参ふるに卜筮を以てし、断ずるに蓍亀を以てす、易へざるの道なり。

現代語訳

「重大な決断は、自分の判断だけに頼らず、慎重に、あらゆる助けを借りて下す」——古の聖王が、大事に際して占いを重んじた、その姿勢の意味を説いた冒頭です。司馬遷は、古来の聖王が、国を建て、大事業を興そうとするとき、必ず占い(卜筮)を大切な助けとして用いてきた、と述べます。「古より聖王が、国を建て、天命を受け、大きな事業を起こそうとするにあたって、占いを宝として重んじ、善き決断の助けとしなかったことが、あっただろうか(何嘗不寶卜筮以助善)」と。ここで大切なのは、占いを迷信として盲信したという話ではなく、重大な決断を、自分一人の判断だけで軽々しく下さず、慎重に、あらゆる助けを借りて臨んだ、その姿勢です。司馬遷は続けます。「(占いは)変化が窮まりなく(奥深く)、だからこそ、優れた者を選んで、その占いを用いさせた。これは、聖人が、重大な事を、いかに慎重に重んじたか(聖人重事)を示すものと言えよう」と。そして、こう結びます。「王者が、さまざまな疑わしい問題について決断を下すとき、(自分の考えに)占いを参照として加え(參以卜筮)、慎重に判断する——これは、(古来変わらぬ)動かしがたい道なのだ」と。ここに、重大な決断についての教訓があります。第一に、重大な決断ほど、自分一人の判断だけで軽々しく下さず、慎重に、あらゆる助け(情報・知恵・意見)を借りて臨むべきだということ(聖人重事)。古の聖王が占いを重んじたのは、大事を慎重に扱う姿勢の表れだった。決断の重さに応じて、それにかける慎重さも増すべきである。第二に、自分の考えだけを絶対とせず、それを検証し補うための、別の視点や参照を持つこと(參以卜筮)。一つの判断を、それだけで断行するのではなく、他の材料と照らし合わせる。第三に、その助けを使うにも、「優れた者を選んで用いる(擇賢而用占)」——信頼できる、質の高い助言や情報を選ぶこと。組織や仕事で、重大な決断ほど慎重にあらゆる助けを借りて臨むこと、自分の判断を絶対とせず別の視点や参照で検証すること、そして質の高い助言や情報を選んで用いること——この冒頭は、重大な決断に臨む慎重さの大切さを教えます。

解説

あなたは、重大な決断ほど、自分一人の判断だけで軽々しく下すのではなく、その重さに応じた慎重さをもって、あらゆる助けを借りて臨めていますか?自分の考えだけを絶対とせず、それを検証し補うための、別の視点や参照(情報・データ・他者の意見)を持てていますか?助けや助言を求めるとき、信頼できる、質の高いものを選んで用いる目を持てていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

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