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史記 / 大宛列伝

騫為人彊力、寛大にして人を信じ、蛮夷之を愛す。堂邑父は故と胡人なり、善く射、窮急すれば禽獣を射て食を給す。騫身ら至る所の者は大宛・大月氏・大夏・康居なり、而して其の旁の大国五六を伝聞し、具に天子の為に之を言ふ。

書き下し

騫の為人彊力にして、寛大にして人を信じ、蛮夷之を愛す。堂邑父は故と胡人なり、善く射、窮急すれば禽獣を射て食を給す。騫身ら至る所の者は大宛・大月氏・大夏・康居なり、而して其の旁の大国五六を伝聞し、具に天子の為に之を言ふ。

現代語訳

「たくましさと、寛大で人を信じる人柄が、異郷でも人に愛される——そして、支える仲間の存在」——張騫という人物の魅力と、その旅を支えた同行者を描いた一段です。過酷な西域行を成し遂げた張騫は、どのような人物だったのか。史記は簡潔に記します。「張騫の人となりは、たくましく力強く(彊力)、寛大で人を信じ(寬大信人)、そのため、異郷の異民族たちからも愛された(蠻夷愛之)」と。困難に耐える強靭さと、人を疑わず大らかに信じる度量。この二つを併せ持っていたからこそ、彼は、言葉も文化も異なる遠国の人々からさえ、好意と信頼を寄せられたのです。そして、この長い旅は、張騫一人の力で成し遂げられたのではありません。彼には、堂邑父という、かけがえのない同行者がいました。堂邑父は、もとは匈奴出身の者で、弓の名手でした。旅の途中、食料も尽きて絶体絶命の窮地に陥ったとき、堂邑父が鳥や獣を射止めて、一行の食をつないだ(窮急射禽獸給食)のです。この頼もしい仲間がいたからこそ、張騫は生き延び、大宛・大月氏・大夏・康居といった遠国にまで到達し、さらにその周辺の大国の情報まで持ち帰って、天下にもたらすことができました。ここに、人柄と仲間についての教訓があります。第一に、困難に耐えるたくましさ(彊力)と、人を疑わず大らかに信じる寛大さ(寬大信人)を併せ持つ人柄が、異なる文化・立場の人々からさえ、信頼と好意を得るということ。強さだけでも、優しさだけでも足りない。その両立が、広く人に愛される土台となる。第二に、大きな事業は、けっして一人では成し遂げられず、それを支える有能で頼もしい仲間の存在が不可欠だということ。堂邑父の弓がなければ、張騫は飢えて倒れていた。窮地でこそ、仲間の真価が発揮される。第三に、その仲間の貢献を、正当に認め、記憶すること(史記は堂邑父の名と功を記した)。組織や事業で、たくましさと人を信じる寛大さを併せ持つこと、大事は有能で頼もしい仲間があってこそ成ると知ること、そして支えてくれる仲間の貢献を正当に認めること——張騫の人柄と堂邑父の逸話は、人に愛される資質と、仲間の大切さを教えます。

解説

あなたは、困難に耐えるたくましさと、人を疑わず大らかに信じる寛大さを、併せ持てていますか——強さと優しさの両立が、広く人に信頼される土台になると理解していますか?自分の成し遂げようとする大きな事業が、けっして一人ではなく、支えてくれる有能な仲間があってこそ成ると自覚していますか?窮地でこそ真価を発揮してくれる仲間の貢献を、正当に認め、感謝できていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

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