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史記 / 司馬相如列伝

蓋し世必ず非常の人有り、然る後に非常の事有り。非常の事有り、然る後に非常の功有り。非常なる者は、固より常人の異とする所なり。故に曰く、非常の原は、黎民焉を懼る、厥の成るに臻るに及びて、天下晏如たりと。

書き下し

蓋し世必ず非常の人有り、然る後に非常の事有り。非常の事有り、然る後に非常の功有り。非常なる者は、固より常人の異とする所なり。故に曰く、「非常の原は、黎民焉を懼る、厥の成るに臻るに及びて、天下晏如たり」と。

現代語訳

「並外れた成果は、並外れた構想から生まれる——初めは人々に恐れられても、成し遂げれば安らぐ」——司馬相如が、事業への反対論に答えて説いた、変革の本質を描いた一段です。司馬相如が西南夷への道を開く事業に関わったとき、地元の長老たちは「そんな事業は役に立たない」と反対しました。それに答えて、彼が説いたのが、この有名な一節です。「そもそも世の中には、まず並外れた人物(非常の人)がいて、はじめて並外れた事業(非常の事)が生まれる。並外れた事業があって、はじめて並外れた功績(非常の功)が生まれるのだ。並外れたことは、もともと普通の人が『異様だ』と怪しむものである。だからこう言われる——並外れたことの始まりには、民衆は恐れおののく。しかし、それが成し遂げられたときには、天下は安らかになるのだ(非常之原、黎民懼焉、及臻厥成、天下晏如也)」と。前例のない大きな構想は、着手の段階では、多くの人に理解されず、不安がられ、反対される。しかし、それをやり遂げたとき、はじめてその価値が万人に分かり、皆が安んじる、というのです。ここに、変革と構想についての教訓があります。第一に、並外れた大きな成果は、並外れた構想と、それを担う人物から生まれるということ。前例の踏襲や小さな改善の延長線上には、非常の功は生まれない。大きな飛躍には、常識を超える構想力が要る。第二に、前例のない構想は、着手の段階では、必ずと言ってよいほど、周囲に理解されず、不安がられ、反対されるということ(黎民懼焉)。新しい試みへの反対は、その試みが凡庸でない証でもある。反対があること自体を恐れて、構想を諦めてはならない。第三に、しかし、その価値は「成し遂げたとき(臻厥成)」にはじめて万人に理解されるということ。だから、初期の無理解や批判に耐え、やり遂げる胆力が要る。ただし——この同じ西南夷事業を、公孫弘は「割に合わない」と反対し、実際に一部は撤退した。壮大な構想が常に正しいとは限らず、実現可能性や費用対効果の冷静な見極めも、あわせて必要である。組織や事業で、大きな成果は常識を超える構想から生まれると知ること、前例なき構想への初期の反対を過度に恐れないこと、そして構想の壮大さと実現可能性の冷静な見極めを両立させること——司馬相如のこの言葉は、変革を担う者の気概と、その落とし穴の両面を教えます。

解説

あなたは、前例の踏襲や小さな改善にとどまらず、大きな成果を生む「並外れた構想」を描く力を持てていますか?前例のない試みが、着手の段階で周囲に理解されず反対されることを、過度に恐れて諦めていませんか?一方で、構想の壮大さに酔うだけでなく、その実現可能性や費用対効果を冷静に見極めるバランスを、保てていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

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