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史記 / 万石張叔列伝

萬石君徙居陵裏。内史慶酔帰、入外門不下車。萬石君聞之、不食。慶恐、肉袒請罪、不許。挙宗及兄建肉袒、萬石君譲曰、内史貴人、入閭里、里中長老皆走匿、而内史坐車中自如、固当。乃謝罷慶。慶及諸子弟入里門、趨至家。

新字:万石君徙居陵裏。内史慶酔帰、入外門不下車。万石君聞之、不食。慶恐、肉袒請罪、不許。挙宗及兄建肉袒、万石君譲曰、内史貴人、入閭里、里中長老皆走匿、而内史坐車中自如、固当。乃謝罷慶。慶及諸子弟入里門、趨至家。

書き下し

萬石君徙りて陵裏に居る。内史慶酔ひて帰り、外門に入るに車を下らず。萬石君之を聞き、食らはず。慶恐れ、肉袒して罪を請ふも、許さず。宗を挙げて及び兄建肉袒するに、萬石君譲めて曰く、「内史は貴人なり、閭里に入るに、里中の長老皆走り匿るるに、而れども内史車中に坐して自如たり、固より当れり」と。乃ち謝して慶を罷めしむ。慶及び諸子弟里門に入るに、趨りて家に至る。

現代語訳

「叱責の言葉ではなく、自らの態度で示すことによって、相手に深く気づかせる」——息子の傲慢を、無言の自省によって正した万石君のしつけを描いた一段です。万石君の息子・石慶は、内史(高位の官)でしたが、あるとき酔って帰宅し、村里の外門で車から降りずにそのまま入ってきました。土地の者に対して礼を欠いた振る舞いです。これを聞いた万石君は、息子を叱りつけるのではなく、ただ食事を断ちました。父が食を断ったことに驚いた慶は、恐れて上半身を脱いで(肉袒)謝罪しますが、万石君は許しません。一族総出で、兄の建までもが肉袒して詫びると、ようやく万石君は口を開きます。「内史ともあろう高位の者が村里に入れば、里の長老たちさえ道を避けて隠れるほどだ。それなのに、当の内史が車の中でふんぞり返って平然としている。(皆が萎縮するのも)当然のことだ」と。皮肉を込めて、高位の者こそ謙虚であるべきことを諭したのです。その後、慶をはじめ子弟たちは、里の門をくぐるときには車を降り、小走りで家に向かうようになりました。ここに、人を正すやり方についての教訓があります。第一に、相手の過ちを、頭ごなしの叱責ではなく、自らの態度(食を断つ)で示すことで、かえって深く気づかせられる場合があるということ。万石君の無言の自省は、どんな説教よりも息子の心に響いた。第二に、地位の高い者ほど、周囲への態度に慎み深くあるべきだということ。「皆が畏れて隠れる」立場にある者が傲慢に振る舞えば、周囲を萎縮させ、信頼を損なう。高い地位は、より深い謙虚さを求める。第三に、一度の効果的な戒めが、その後の継続的な行動の変化を生むこと。組織で、頭ごなしの叱責でなく自らの態度で気づかせること、地位が高い者ほど周囲への謙虚さを保つこと、そして戒めが行動の定着につながるよう導くこと——万石君のしつけは、人を正す深い作法を教えます。

解説

あなたは、部下や周囲の過ちを、頭ごなしの叱責ではなく、自らの態度で気づかせる工夫をしていますか?地位が高くなるほど、周囲への態度に慎み深さが求められることを意識できていますか?一度の戒めを、その場限りで終わらせず、継続的な行動の変化につなげられていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

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