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史記 / 張丞相列伝

申屠丞相嘉者、梁人。嘉為人廉直、門不受私謁。是時太中大夫鄧通方隆愛幸、賞賜累巨萬。是時丞相入朝、而通居上傍、有怠慢之禮。丞相奏事畢、因言曰、陛下愛幸臣、則富貴之、至於朝廷之禮、不可以不肅。上曰、君勿言、吾私之。罷朝坐府中、嘉為檄召鄧通詣丞相府、不來、且斬通。通恐、入言文帝。文帝曰、汝第往、吾今使人召若。通至丞相府、免冠徒跣、頓首謝。嘉責曰、夫朝廷者、高皇帝之朝廷也。通小臣、戲殿上、大不敬、當斬。文帝度丞相已困通、使使者持節召通、而謝丞相曰、此吾弄臣、君釋之。

新字:申屠丞相嘉者、梁人。嘉為人廉直、門不受私謁。是時太中大夫鄧通方隆愛幸、賞賜累巨万。是時丞相入朝、而通居上傍、有怠慢之礼。丞相奏事畢、因言曰、陛下愛幸臣、則富貴之、至於朝廷之礼、不可以不粛。上曰、君勿言、吾私之。罷朝坐府中、嘉為檄召鄧通詣丞相府、不来、且斬通。通恐、入言文帝。文帝曰、汝第往、吾今使人召若。通至丞相府、免冠徒跣、頓首謝。嘉責曰、夫朝廷者、高皇帝之朝廷也。通小臣、戯殿上、大不敬、当斬。文帝度丞相已困通、使使者持節召通、而謝丞相曰、此吾弄臣、君釈之。

書き下し

申屠丞相嘉は、梁の人なり。嘉の人と為り廉直、門に私謁を受けず。是の時太中大夫鄧通方に愛幸を隆くし、賞賜巨万を累ぬ。是の時丞相入朝するに、通上の傍に居りて、怠慢の礼有り。丞相事を奏し畢り、因りて言ひて曰く、「陛下臣を愛幸せば、則ち之を富貴にせよ、朝廷の礼に至りては、以て粛ならざる可からず」と。上曰く、「君言ふ勿かれ、吾之を私す」と。朝を罷めて府中に坐し、嘉檄を為りて鄧通を召して丞相府に詣らしむるに、来たらざれば、且に通を斬らんとす。通恐れ、入りて文帝に言ふ。文帝曰く、「汝第だ往け、吾今人をして若を召さしめん」と。通丞相府に至り、冠を免き徒跣にして、頓首して謝す。嘉責めて曰く、「夫れ朝廷は、高皇帝の朝廷なり。通は小臣にして、殿上に戯る、大不敬、斬に当る」と。文帝丞相の已に通を困しむるを度り、使者をして節を持して通を召さしめ、丞相に謝して曰く、「此れ吾が弄臣なり、君之を釈せ」と。

現代語訳

「清廉で私情に流されず、地位ある者として、たとえ相手が権力者の寵臣でも、公的な規律を厳格に守らせる」——丞相・申屠嘉の廉直を描いた一段です。申屠嘉は、清廉で公明正大な人物で、自宅の門で私的な陳情(賄賂や口利きの依頼)を一切受け付けませんでした。当時、鄧通という人物が、文帝の絶大な寵愛を受け、莫大な恩賞を得て権勢を振るっていました。あるとき、丞相・申屠嘉が朝廷に参内すると、寵臣・鄧通は、皇帝のそばで、(丞相に対して)無礼で怠慢な態度を取っていました。申屠嘉は、政務の報告を終えると、皇帝に諫言します。「陛下が臣下を寵愛されるのは結構です。ならば、富や地位を与えればよい。しかし、朝廷の(公的な)礼儀・規律は、厳格に守らせねばなりません」と。皇帝は「まあ、言うな。私が個人的に大目に見ているのだ」と取りなします。しかし、申屠嘉は引き下がりません。退朝して丞相府に戻ると、鄧通を呼び出す召喚状を出し、「来なければ斬る」と迫りました。恐れた鄧通が文帝に泣きつくと、文帝は「とにかく行ってこい。後で私が使者を送って助けてやる」と言います。鄧通が丞相府に出頭すると、申屠嘉は、冠を脱ぎ裸足で平伏して謝る鄧通を、厳しく叱責しました。「そもそも朝廷は、(初代皇帝)高皇帝が築かれた朝廷である。お前ごとき小臣が、殿上で無礼な振る舞いをするのは、大不敬であり、斬罪に値する」と。文帝は、丞相が十分に鄧通を懲らしめたと見計らって、ようやく使者を送って鄧通を赦免させ、申屠嘉に「あれは私のお気に入りの臣だ。どうか赦してやってくれ」と詫びたのです。ここに、規律と公正についての教訓があります。第一に、清廉で私情に流されないこと。申屠嘉は、私的な陳情を一切受け付けず、公私を厳格に分けていた。この清廉さが、彼が公的規律を守らせる正当性の土台になっている。第二に、たとえ相手が権力者(皇帝)の寵臣であっても、公的な規律・礼を厳格に守らせること。申屠嘉は、皇帝が「大目に見ろ」と言っても引かず、寵臣・鄧通に規律違反の責任を厳しく取らせた。規律は、身分の高い者・権力者に近い者にこそ、例外なく適用してこそ機能する(司馬穰苴・孫武・商鞅と同じ原則)。寵臣だから、権力者のお気に入りだからと大目に見れば、規律は形骸化する。第三に、しかし、その厳格さも、相手を破滅させるためではなく「規律を思い知らせる」ことが目的だったこと。申屠嘉は、鄧通を十分に懲らしめると、皇帝の顔を立てて赦した。規律を守らせる目的を達すれば、それ以上は追い込まない節度もあった。組織で、清廉で公私を分けること、権力者の寵臣・お気に入りにこそ公的規律を例外なく守らせること、そしてその厳格さに節度を持つこと——申屠嘉の廉直は、規律を機能させるリーダーの姿勢を教えます。

解説

あなたは、清廉で、公私を厳格に分け、私的な情実に流されずにいられていますか?たとえ相手が権力者の寵臣・お気に入りであっても、公的な規律・ルールを例外なく守らせることができていますか?規律を守らせる際、相手を破滅させるためではなく規律を守らせる目的を達したら追い込まない、という節度を持てていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

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