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史記 / 張耳陳余列伝

張耳從項羽入關、項羽立張耳為常山王、而陳餘不得王、由此益怒。陳餘乃借齊兵擊張耳、張耳敗走、歸漢。陳餘迎趙王歇於代、復為趙王。漢三年、韓信已定魏地、遣張耳與韓信擊破趙井陘、斬陳餘泜水上、追殺趙王歇。漢立張耳為趙王。曩者相與為刎頸之交、卒相滅亡。

新字:張耳従項羽入関、項羽立張耳為常山王、而陳余不得王、由此益怒。陳余乃借斉兵擊張耳、張耳敗走、歸漢。陳余迎趙王歇於代、復為趙王。漢三年、韓信已定魏地、遣張耳与韓信擊破趙井陘、斬陳余泜水上、追殺趙王歇。漢立張耳為趙王。曩者相与為刎頸之交、卒相滅亡。

書き下し

張耳項羽に従ひて関に入る。項羽張耳を立てて常山王と為すも、陳餘は王たるを得ず、此に由りて益々怒る。陳餘乃ち斉の兵を借りて張耳を撃つ。張耳敗走し、漢に帰す。陳餘趙王歇を代に迎へ、復た趙王と為す。漢三年、韓信已に魏の地を定め、張耳をして韓信と趙を井陘に撃破せしめ、陳餘を泜水の上に斬り、趙王歇を追殺す。漢張耳を立てて趙王と為す。曩には相与に刎頸の交はりを為すも、卒に相ひ滅亡す。

現代語訳

「命を賭けた親友どうしが、権力と利害をめぐって、ついに殺し合う宿敵になる」——友情の悲劇的な結末を描いた、この篇の主題を凝縮した一段です。決裂した張耳と陳余の対立は、天下の覇権争いの中で、決定的なものになっていきます。項羽が論功行賞で張耳を常山王に封じた一方、陳余は王になれませんでした。この不公平な扱いに、陳余の怒りはさらに募ります。陳余は他国の兵を借りて張耳を攻め、敗れた張耳は劉邦(漢)のもとへ逃げ込みました。かたや陳余は趙王を擁立して勢力を得ます。そして漢の三年、名将・韓信が趙を攻めると、張耳は韓信とともに、かつての親友・陳余の軍を井陘で撃破し、陳余を泜水のほとりで斬り殺したのです。かつて「互いに首をはねられても悔いない」と誓い合った刎頸の交わりの二人が、ついに一方が他方を斬り殺すという、最悪の結末を迎えました。ここに、人間関係と権力についての、痛切な教訓があります。第一に、利害や権力が絡むと、どんなに固い友情・信頼も崩れうるということ。張耳と陳余は、逆境の中で命を賭け合った、これ以上ないほど固い絆で結ばれていました。しかし、権力(王位)と利害が絡んだ瞬間から、その絆は嫉妬と対立に変わり、最後には殺し合いに至った。友情が試されるのは、共に苦労する逆境のときよりも、むしろ、分けるべき権力や利益が生まれたときなのです。第二に、対立は、一度こじれると、坂を転げ落ちるようにエスカレートすること。最初の誤解(鉅鹿での決裂)が、不公平な処遇への怒りを生み、武力衝突に発展し、ついには殺し合いへと、際限なく激化していった。小さな亀裂を早期に修復できなければ、対立は取り返しのつかないところまで進む。第三に、そして次段の司馬遷の評が指摘するように、この悲劇の根本原因は、二人の友情が「勢利の交わり(権力や利益に基づく結びつき)」だった可能性です。組織や人間関係で、逆境で結ばれた絆も、権力や利益の分配が絡むと崩れうること、そして対立は一度こじれると際限なくエスカレートすること——張耳と陳余の悲劇は、人間関係における利害の恐ろしさを、時代を超えて突きつけます。

解説

あなたは、逆境で結ばれた絆も、権力や利益の分配が絡むと崩れうることを自覚していますか?友情や信頼が本当に試されるのは、共に苦労するときよりも、分けるべき権力・利益が生まれたときだと理解していますか?対立が一度こじれると際限なくエスカレートする前に、小さな亀裂を早期に修復できていますか?

この一句を、あなたの毎日に。

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