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史記 / 魯仲連鄒陽列伝

臣聞明月之珠,夜光之璧,以闇投人於道路,人無不按劍相眄者。何則?無因而至前也。蟠木根柢,輪囷離詭,而為萬乘器者。何則?以左右先為之容也。故無因至前,雖出隨侯之珠,夜光之璧,猶結怨而不見德。故有人先談,則以枯木朽株樹功而不忘。今夫天下布衣窮居之士,身在貧賤,雖蒙堯、舜之術,挾伊、管之辯,懷龍逢、比干之意,欲盡忠當世之君,而素無根柢之容,雖竭精思,欲開忠信,輔人主之治,則人主必有按劍相眄之跡,是使布衣不得為枯木朽株之資也。

新字:臣聞明月之珠,夜光之璧,以闇投人於道路,人無不按剣相眄者。何則?無因而至前也。蟠木根柢,輪囷離詭,而為万乗器者。何則?以左右先為之容也。故無因至前,雖出随侯之珠,夜光之璧,猶結怨而不見徳。故有人先談,則以枯木朽株樹功而不忘。今夫天下布衣窮居之士,身在貧賤,雖蒙堯、舜之術,挟伊、管之弁,懐竜逢、比干之意,欲尽忠当世之君,而素無根柢之容,雖竭精思,欲開忠信,輔人主之治,則人主必有按剣相眄之跡,是使布衣不得為枯木朽株之資也。

書き下し

臣聞く、明月の珠、夜光の璧も、闇を以て人に道路に投ずれば、人剣を按じて相眄せざる者無しと。何となれば、因無くして前に至ればなり。蟠木の根柢は、輪囷離詭なるも、而も万乗の器と為る者は、何となれば、左右先づ之が容を為すを以てなり。故に因無くして前に至れば、隨侯の珠、夜光の璧を出だすと雖も、猶ほ怨を結びて徳とせられず。故に人の先づ談ずる有れば、則ち枯木朽株を以てするも功を樹てて忘れられず。今夫れ天下の布衣窮居の士は、身は貧賤に在り、堯・舜の術を蒙り、伊・管の弁を挟み、竜逢・比干の意を懐き、忠を当世の君に尽くさんと欲すと雖も、而も素より根柢の容無ければ、精思を竭くし、忠信を開きて、人主の治を輔けんと欲すと雖も、則ち人主必ず剣を按じて相眄するの跡有り。是れ布衣をして枯木朽株の資と為るを得ざらしむるなり。

現代語訳

私はこう聞いている。明月の珠や夜光の璧のような宝であっても、暗闇の道で人に投げつければ、誰もが剣の柄に手をかけてにらみつける。なぜか。何の手引きもなく目の前に現れたからである。ねじ曲がった木の根は、くねくねと曲がりくねって奇怪な形をしているのに、それでも万乗の君主の器物となる。なぜか。側近がまず飾り立てておくからである。だから手引きもなく目の前に現れれば、隨侯の珠や夜光の璧を差し出しても、かえって恨まれて恩とは思われない。一方、誰かがまず口添えしておけば、枯れ木や朽ちた切り株でも功績を立てて忘れられない。いま天下の無位無官で貧しく暮らす士は、身は貧しく卑しくとも、堯や舜の治世の術を身につけ、伊尹や管仲のような弁舌を備え、竜逢や比干のような忠義の心を抱いて、当代の君主に忠を尽くそうと願っている。しかしもともと根回しをしてくれる者がいないので、いくら考えを尽くし、忠誠を示して君主の政治を助けようとしても、君主は必ず剣の柄に手をかけてにらみつけるような態度をとる。これでは無位無官の士は、枯れ木や朽ち株ほどの役にも立てないのである。

解説

鄒陽の上書のなかで、推薦や口添えのない者がいかに不利かを論じた段です。明月の珠のような宝でも暗闇でいきなり投げつけられれば警戒され、曲がりくねった木の根でも側近が先に飾っておけば君主の器物になる。価値そのものより、どう紹介されたかで評価が決まるという皮肉な指摘です。無位無官の士は、どれほど才能があっても手引きがなければ疑いの目で見られます。組織でも、良い提案が誰を通って届いたかで扱いが変わることはよくあります。上に立つ人は、紹介者のいない声にこそ耳を傾ける仕組みを持っておくべきでしょう。

この章句が説くこと

推薦人材登用明月の珠を暗投すれば剣を按ず関係の下地先入観鄒陽

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