史記 / 商君列伝
令民為什伍、而相牧司連坐。不告姦者腰斬、告姦者與斬敵首同賞、匿姦者與降敵同罰。民有二男以上不分異者、倍其賦。有軍功者、各以率受上爵。為私斗者、各以輕重被刑大小。僇力本業、耕織致粟帛多者復其身。事末利及怠而貧者、舉以為收孥。宗室非有軍功論、不得為屬籍。明尊卑爵秩等級、各以差次名田宅。有功者顯榮、無功者雖富無所芬華。
新字:令民為什伍、而相牧司連坐。不告姦者腰斬、告姦者与斬敵首同賞、匿姦者与降敵同罰。民有二男以上不分異者、倍其賦。有軍功者、各以率受上爵。為私斗者、各以輕重被刑大小。僇力本業、耕織致粟帛多者復其身。事末利及怠而貧者、舉以為収孥。宗室非有軍功論、不得為属籍。明尊卑爵秩等級、各以差次名田宅。有功者顕栄、無功者雖富無所芬華。
書き下し
民をして什伍と為らしめて、相ひ牧司し連坐せしむ。姦を告げざる者は腰斬し、姦を告ぐる者は敵首を斬るに同じく賞し、姦を匿す者は敵に降るに同じく罰す。民に二男以上有りて分異せざる者は、其の賦を倍にす。軍功有る者は、各々率を以て上爵を受く。私斗を為す者は、各々軽重を以て刑の大小を被る。力を本業に僇し、耕織して粟帛を致すこと多き者は其の身を復す。末利を事とし及び怠りて貧しき者は、挙げて以て収孥と為す。宗室も軍功の論有るに非ざれば、属籍を為すを得ず。尊卑爵秩の等級を明らかにし、各々差次を以て田宅を名づく。功有る者は顕栄し、功無き者は富むと雖も芬華する所無し。
現代語訳
「成果に応じて公平に報い、身分ではなく実績で処遇する」——徹底した実力主義と信賞必罰の制度設計を示す、商鞅変法の中核です。この法の要点は複数あります。第一に、軍功を挙げた者は身分に関係なく爵位を得られ、逆に王族でも軍功がなければ特権を失う——生まれではなく実績で処遇する徹底した成果主義。第二に、功ある者は栄え、功なき者は富があっても栄誉を得られない——貢献と報酬を厳密に連動させる。第三に、農業(本業)に励む者は優遇し、怠けて貧しい者は罰する——奨励する行動と罰する行動を明確に規定する。ここには現代の人事・組織設計に通じる原理があります。すなわち、①評価基準を明確化・可視化し、②身分や属性ではなく成果で処遇し、③組織が望む行動(生産・貢献)に報い、望まない行動に罰を与える。この「仕組み」によって、秦は個人の裁量や情実に頼らず、誰がやっても機能する統治を実現しました。ただし連坐(密告の強制)など、統制が過剰で非人間的な側面も併せ持ちます。制度による統治は再現性と公平さをもたらす一方、行き過ぎれば人心の反発を生む——その両面を、この徹底した設計は示しています。