史記 / 仲尼弟子列伝
曾參、南武城人、字子輿。少孔子四十六歲。孔子以為能通孝道、故授之業。作孝經。死於魯。
新字:曽参、南武城人、字子輿。少孔子四十六歲。孔子以為能通孝道、故授之業。作孝経。死於魯。
書き下し
曾参、南武城の人、字は子輿。孔子より少きこと四十六歳。孔子以て能く孝道に通ずと為し、故に之に業を授く。孝経を作る。魯に死す。
現代語訳
のろまと評されながら、一つの徳を深く極めることで大成した人物を描いた、短いが含蓄ある一段です。曾参は、この篇の冒頭で「参や魯(のろま)」と評されたように、才気煥発なタイプではありませんでした。しかし孔子は、彼が「孝の道」に深く通じていると認めて教えを授け、曾参は後に『孝経』を著して、後世に絶大な影響を残します。ここに重要な教訓があります。人の価値は、頭の回転の速さや器用さだけで決まるものではない。むしろ、一つのことを愚直に、深く追求し続ける力こそ、大きな仕事を成す。曾参は華々しさこそなかったが、誠実に一つの徳を極め、その専門性で不朽の古典を遺しました。組織でも、目立つ才能ばかりが貢献するわけではありません。地道で不器用でも、一つの領域を深く掘り下げる人材が、長い目で見れば最も価値ある成果を生むことがある。器用さより、一途な深さ。自分の強みを一点に絞って徹底的に磨く——それが、平凡に見える人を非凡な達成へと導くのです。
解説
あなたは、頭の回転や器用さだけで人(や自分)の価値を測っていませんか?一つのことを愚直に深く追求し続ける力を、正当に評価できていますか?自分の強みを一点に絞って徹底的に磨けていますか?