史記 / 仲尼弟子列伝
閔損字子騫。少孔子十五歲。孔子曰、孝哉閔子騫、人不閒於其父母昆弟之言。不仕大夫、不食汙君之祿。如有復我者、必在汶上矣。
新字:閔損字子騫。少孔子十五歳。孔子曰、孝哉閔子騫、人不閒於其父母昆弟之言。不仕大夫、不食汚君之禄。如有復我者、必在汶上矣。
書き下し
閔損、字は子騫。孔子より少きこと十五歳。孔子曰く、「孝なるかな閔子騫、人、其の父母昆弟の言を間せず」と。大夫に仕へず、汙君の禄を食まず。「如し我を復たする者有らば、必ず汶の上に在らん」と。
現代語訳
閔損は字を子騫といい、孔子より十五歳若い。孔子は「孝行だなあ、閔子騫は。彼の親兄弟が彼を褒める言葉に、誰も異議を唱えない(それほど誰もが認める孝行者だ)」と言った。閔子騫は(道理に外れた)大夫に仕えず、不正な君主の俸禄を食まなかった。彼は「もし私をもう一度仕官させようとする者がいたら、私は必ず汶水のほとりへ逃げるだろう」と言った。
解説
評判の真正さと、仕える相手を選ぶ「筋の通し方」を示す一段です。閔子騫の孝行は、身内の誰もが認めて異議を唱えない——外向けに取り繕った評判ではなく、最も近くで見ている家族すら一致して認める本物でした。評判というものは、遠くの人より、身近な人がどう見ているかにこそ真価が表れます。身内から認められる人こそ、信頼に値する。そしてもう一つ、閔子騫は道理に外れた君主には仕えず、その禄も食まないという一線を守りました。無理な仕官を迫られれば逃げるとまで言い切る。組織人・職業人にとって、どんな条件でも仕えるのではなく、「誰と働くか・どんな組織の禄を食むか」を自分の価値観で選ぶ姿勢は、目先の利益より自分の筋を通す生き方です。能力を売る先を選ぶことも、一つの見識だと教えます。
この章句が説くこと
閔子騫評判の真正さ身近な人の評価仕える相手を選ぶ筋を通す孝
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