史記 / 司馬穰苴列伝
齊威王使大夫追論古者司馬兵法而附穰苴於其中、因號曰司馬穰苴兵法。
新字:斉威王使大夫追論古者司馬兵法而附穰苴於其中、因号曰司馬穰苴兵法。
書き下し
斉の威王、大夫をして古の司馬の兵法を追論して穰苴を其の中に附せしめ、因りて号づけて司馬穰苴の兵法と曰ふ。
現代語訳
斉の威王は大夫に命じて、古代の『司馬兵法』を研究・整理させ、その中に穰苴の兵法を加えさせた。そこでこれを『司馬穰苴兵法』と名づけた。
解説
個人の実践知が、組織的に編纂・体系化されて後世に受け継がれる過程を示す短い一段です。穰苴の兵法は、彼一代の属人的なノウハウで終わらせず、威王が公式に編纂事業を起こして古典の中に位置づけ、名を冠した書物として残しました。優れた人材の暗黙知は、放置すれば本人とともに失われます。それを組織として言語化・体系化し、標準として後進に伝えられる形にしてはじめて、持続的な資産になる。属人的な名人芸を、誰もが学べる「仕組み」に変換すること――これは経営における知の承継そのものです。個人の卓越を、組織の再現可能な力に変える視点が示されています。