菜根譚 / 後集
釋氏隨緣,吾儒素位。四字是渡海的浮嚢。蓋世路茫茫,一念求全,則萬緒紛起。隨寓而安,則無入不得矣。
新字:釈氏随縁,吾儒素位。四字是渡海的浮嚢。蓋世路茫茫,一念求全,則万緒紛起。随寓而安,則無入不得矣。
書き下し
釈氏の随縁、吾が儒の素位。四字は是れ海を渡るの浮嚢なり。蓋し世路は茫茫たり。一念、全きを求めば、則ち万緒紛起す。寓に随いて安んずれば、則ち入るとして得ざる無し。
現代語訳
仏教の「縁に随う」、我らの儒の「位に素す」。この四字は、海を渡る浮き袋である。思うに、世の路は茫々としている。一念でも完全を求めれば、万の思いが乱れ起こる。身を寄せた所に安んじれば、どこへ入っても得られないことはない。
解説
菜根譚の最後の一条です。「縁に随う」「位に素す」。今いる場所に、安んじる。「一念でも完全を求めれば、万の思いが乱れ起こる」。完璧を求めることが、乱れの源。今ここで足りることが、全篇の結論なのです。