菜根譚 / 後集
人生減省一分,便超脫一分。如交遊減便免紛擾,言語減便寡愆尤,思慮減則精神不耗,縂明減則混沌可完。彼不求日減而求日增者,真桎梏此生哉。
新字:人生減省一分,便超脱一分。如交遊減便免紛擾,言語減便寡愆尤,思慮減則精神不耗,縂明減則混沌可完。彼不求日減而求日增者,真桎梏此生哉。
書き下し
人生、一分を減省せば、便ち一分を超脱す。交遊を減ぜば便ち紛擾を免れ、言語を減ぜば便ち愆尤寡なく、思慮を減ぜば則ち精神耗せず、聡明を減ぜば則ち混沌完かるべし。彼の日に減ずるを求めずして日に増すを求むる者は、真に此の生を桎梏するかな。
現代語訳
人生を一分だけ減らせば、その分だけ超え出る。交際を減らせば煩わしさを免れ、言葉を減らせば咎めが少なくなり、思慮を減らせば精神が消耗せず、聡明さを減らせば混沌が全うされる。日々減らすことを求めず、日々増やすことを求める者は、まことにこの生を枷にはめているのだ。
解説
現代社会では、多くのものを「増やす」ことに価値を見出しがちですが、本当に大切なのは「減らす」ことかもしれません。人との交際を減らせば煩わしさから解放され、言葉を減らせば誤解や後悔が少なくなる。余計な思考を減らせば、心は消耗せず、より本質的なものに集中できます。あれこれと増やし続けることは、かえって自分自身を縛り、自由を奪うことにつながります。本当に必要なものを見極め、手放す勇気が、心の豊かさをもたらすでしょう。
この章句が説くこと
人生減省一分便超脱一分彼不求日減而求日増者真桎梏此生哉自制
関連する章句
-
菜根譚・後集先を争うの径路は窄し。一歩を退後せば自ら一歩寛平なり。濃艶の滋味は短し。一分を清淡にせば自ら一分悠長なり。
-
菜根譚・前集人心に一部の真文章有り。都(すべ)て残編断簡に封錮せらる。一部の真鼓吹有り。都て妖姫豔舞に湮没せらる。学者は須らく外物を掃除し、直ちに本来を覓(もと)むべし。纔(はじ)めて個の真受用有り。
-
菜根譚・前集水は波あらざれば則ち自ら定まる。鑑は翳(かげ)らざれば則ち自ら明らかなり。故に心は清くすべき無し。其の混(にご)す者を去らば、而ち清は自ら現る。楽は必ずしも尋ぬべからず。其の苦しむ者を去らば、而ち楽は自ら存す。
-
菜根譚・後集人生、太(はなは)だ閑なれば、則ち別念竊かに生ず。太だ忙しければ則ち真性現れず。故に士君子は身心の憂いを抱かざるべからず。亦た風月の趣に耽らざるべからず。
-
菜根譚・前集人と作(な)るに甚だ高遠なる事業無し。俗情を擺脱(はいだつ)し得ば、便ち名流に入る。学を為すに甚だ増益の工夫無し。物累を減除し得ば、便ち聖境を超ゆ。
-
菜根譚・後集名を矜るは、名を逃るるの趣に若かず。事を練るは、事を省くの閑に何如ぞ。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る