菜根譚 / 後集
波浪兼天,舟中不知懼,而舟外者寒心。猖狂罵坐,席上不知警,而席外者咋舌。故君子身雖在事中,心要超事外也。
書き下し
波浪は天を兼ぬ。舟中は懼るるを知らず。而して舟外の者は寒心す。猖狂して坐を罵る。席上は警するを知らず。而して席外の者は舌を咋(か)む。故に君子は身は事中に在りと雖も、心は事外に超えんことを要す。
現代語訳
波浪が天まで届く。舟の中の者は恐れを知らない。しかし舟の外の者は肝を冷やす。狂って席で罵る。席上の者は警戒を知らない。しかし席外の者は舌を噛む。だから君子は、身は事の中にあっても、心は事の外に超えることが必要だ。
解説
私たちは、自分が置かれた状況の「内側」にいると、その危険性や問題点に気づきにくいものです。まるで荒波の船の中にいる人が、その恐ろしさを実感できないように、日々の仕事や人間関係でも、当事者であると客観的な視点を見失いがちです。常に「外側」から自分や状況を眺める意識を持つことが大切です。一歩引いて全体を俯瞰することで、初めて見えてくる課題やリスクに気づき、より良い判断ができるようになるでしょう。
この章句が説くこと
波浪兼天舟中不知懼而舟外者寒心君子身雖在事中心要超事外也