菜根譚 / 後集
山林之士,清苦而逸趣自饒,農野之夫,鄙略而天真渾具。若一矢身市井伹儈,不若轉死溝壑神骨猶清。
新字:山林之士,清苦而逸趣自饒,農野之夫,鄙略而天真渾具。若一矢身市井伹儈,不若転死溝壑神骨猶清。
書き下し
山林の士は、清苦にして逸趣自ら饒(ゆた)かなり。農野の夫は、鄙略にして天真渾(すべ)て具わる。若し一たび身を市井の伹儈(たんかい)に矢(う)しなわば、溝壑に転死して神骨猶お清きに若かず。
現代語訳
山林の士は、清貧で苦しいが、自在な趣は自ずと豊かだ。田野の農夫は、粗野だが、天真が完全に備わっている。もしひとたび身を市場の仲買人に失えば、溝や谷に転がり死んで、精神と骨がなお清らかであるのに及ばない。
解説
清貧の士も、粗野な農夫も、それぞれ豊かさを持っている。しかし、市場の仲買人になれば、そこで失われる。「溝や谷に転がり死ぬほうがまし」。厳しい言葉です。何を売り渡すかの問題なのです。