菜根譚 / 後集
世人為榮利纏縛,動曰塵世苦海。不知雲白山青,川行石立,花迎鳥咲,谷答樵謳。世亦不塵,海亦不苦,彼自塵苦其心爾。
新字:世人為栄利纏縛,動曰塵世苦海。不知雲白山青,川行石立,花迎鳥咲,谷答樵謳。世亦不塵,海亦不苦,彼自塵苦其心爾。
書き下し
世人は栄利の為に纏縛せられ、動もすれば塵世苦海と曰う。知らず、雲白く山青く、川行き石立ち、花迎え鳥咲い、谷答え樵謳うを。世も亦た塵ならず、海も亦た苦ならず。彼れ自ら其の心を塵苦にするのみ。
現代語訳
世の人は栄誉と利益に縛られ、ともすれば俗世は苦海だと言う。知らないのだ。雲は白く山は青く、川は流れ石は立ち、花は迎え鳥は笑い、谷はこだまし樵は歌っていることを。世も俗塵ではなく、海も苦ではない。彼らが自ら、自分の心を俗塵と苦にしているだけだ。
解説
「世の中は苦海だ」と嘆く人がいる。しかし雲は白く、山は青く、鳥は笑っている。世が苦なのではありません。「自ら、自分の心を俗塵と苦にしているだけ」。苦しみは、自作なのです。