菜根譚 / 後集
無風月花柳,不成造化。無情欲嗜好,不成心體。只以我轉物,不以物役我,則嗜慾莫非天機,塵情即是理境矣。
新字:無風月花柳,不成造化。無情欲嗜好,不成心体。只以我転物,不以物役我,則嗜慾莫非天機,塵情即是理境矣。
書き下し
風月花柳無くんば、造化を成さず。情欲嗜好無くんば、心体を成さず。只だ我を以て物を転じ、物を以て我を役せざれば、則ち嗜慾も天機に非ざる莫く、塵情も即ち是れ理境なり。
現代語訳
風や月や花や柳がなければ、造化は成らない。情欲や嗜好がなければ、心の本体は成らない。ただ、自分で物を転がし、物に自分を使われなければ、嗜欲も天の働きでないものはなく、俗情もそのまま道理の境地である。
解説
風や月、花や柳といった自然の美しさがなければ、この世界は成り立ちません。同様に、感情や欲求、好みといったものがなければ、私たちの心もその本質を形成しません。大切なのは、それらの感情や欲求に自分が振り回されるのではなく、自らが主体となってそれらをコントロールすることです。そうすれば、嗜好も自然な心の働きとなり、世俗的な感情も、そのまま道理に適った境地へと昇華されるでしょう。
この章句が説くこと
無情欲嗜好不成心体只以我転物不以物役我則嗜慾莫非天機