菜根譚 / 後集
遇病而後思强之為寶,處亂而後思平之為福,非蚤智也。倖福而知其為禍之本,貪生而先知其為死之因,其卓見乎。
新字:遇病而後思强之為宝,処乱而後思平之為福,非蚤智也。倖福而知其為禍之本,貪生而先知其為死之因,其卓見乎。
書き下し
病に遇いて而る後に強きの宝と為るを思い、乱に処りて而る後に平らかなるの福と為るを思うは、蚤(はや)き智に非ざるなり。福を倖(さいわい)として其の禍の本と為るを知り、生を貪りて先ず其の死の因と為るを知るは、其れ卓見か。
現代語訳
病にかかってから、初めて健康が宝だと思う。乱に遭ってから、初めて平和が福だと思う。これは早い知恵ではない。幸運を喜びながら、それが禍の本だと知り、生を貪りながら、先にそれが死の因だと知る。これこそ卓越した見識である。
解説
私たちは、何かを失って初めてその価値に気づくことが多いものです。健康を損なって初めてその大切さを知り、平穏が乱れて初めてそのありがたさを感じる、といった経験は誰にでもあるでしょう。しかし、本当に優れた見識とは、幸運な状況にある時でさえ、それが将来の困難の種になる可能性を見抜き、今の豊かさがいつか終わりを迎えることを予見できる力です。目の前の状況に一喜一憂するだけでなく、一歩先の未来を見据え、リスクや変化の兆候を早めに察知する視点を持つことが、より賢明な選択へと導きます。
この章句が説くこと
遇病而後思強之為宝非蚤智也倖福而知其為禍之本其卓見乎