菜根譚 / 後集
萬籟寂寥中,忽聞一鳥弄聲,便喚起許多幽趣。萬卉摧剝後,忽見一枝擢秀,便觸動無限生機。可見,性天未常枯槁,機神最宜觸發。
新字:万籟寂寥中,忽聞一鳥弄声,便喚起許多幽趣。万卉摧剥後,忽見一枝擢秀,便触動無限生機。可見,性天未常枯槁,機神最宜触発。
書き下し
万籟寂寥の中、忽ち一鳥の弄声を聞かば、便ち許多の幽趣を喚び起こす。万卉摧剝の後、忽ち一枝の擢秀を見ば、便ち無限の生機を触動す。見るべし、性天は未だ嘗て枯槁せず、機神は最も触発するに宜し。
現代語訳
あらゆる音が寂しく絶えた中で、ふと一羽の鳥のさえずりを聞けば、たちまち多くの幽玄な趣を呼び起こす。あらゆる草が枯れ落ちた後で、ふと一枝が抜きん出るのを見れば、たちまち無限の生気を触発する。分かるだろう。本性は決して枯れておらず、心の働きは触発されるのが最もよい。
解説
静寂の中でふと聞こえる鳥のさえずりや、枯れた野原に一本だけ咲く花が、私たちの心に深い感動や生きる力を与えることがあります。これは、私たちの本質的な生命力や感性が決して失われていない証拠です。たとえ困難な状況にあっても、小さなきっかけや美しいものに触れることで、内なる力が呼び覚まされ、新たな活力が生まれることがあります。日常の中に隠されたささやかな美しさを見つけることが、心を豊かにする鍵です。
この章句が説くこと
万籟寂寥中忽聞一鳥弄声便喚起許多幽趣性天未常枯槁機神最宜触発
関連する章句
-
菜根譚・後集鳥語虫声は、総て是れ心を伝うるの訣なり。花英草色は、道を見るの文に非ざる無し。学者は、天機清徹、胸次玲瓏にして、物に触れて皆な会心の処有るを要す。
-
菜根譚・後集花は盆内に居らば、終に生機に乏し。鳥は籠中に入らば、便ち天趣を減ず。山間の花鳥の、錯雑して文を成し、翺翔自若にして、自ら是れ悠然として会心なるに若かず。
-
菜根譚・後集興は時を逐いて来たる。芳草の中、履を撒(す)てて閑行す。野鳥は機を忘れて時に伴を作す。景は心と会す。落花の下、襟を披きて兀坐す。白雲は語る無くして漫ろに相い留む。
-
菜根譚・後集人情は鶯の啼くを聴けば則ち喜び、蛙の鳴くを聞けば則ち厭う。花を見れば則ち之を培わんことを思い、草に遇えば則ち之を去らんと欲す。倶に是れ形気を以て事を用う。若し性天を以て之を視れば、何者か自ら其の天機を鳴らすに非ざらん、自ら其の生意を暢(の)ぶるに非ざらん。
-
菜根譚・後集鶯花茂りて山濃く谷艶なるは、総て是れ乾坤の幻境なり。水木落ちて石痩せ崖枯るるは、纔(はじ)めて天地の真吾を見る。
-
菜根譚・後集草木は纔(わず)かに零落すれば、便ち萠穎を根底に露わす。時序は凝寒なりと雖も、終に陽気を飛灰に回らす。粛殺の中、生生の意、常に之が主と為る。即ち是れ以て天地の心を見るべし。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る