菜根譚 / 後集
春日氣象繁華,令人心神駘蕩。不若秋日雲白風清,蘭芳桂馥,水天一色,上下空明,使人神骨倶清也。
新字:春日気象繁華,令人心神駘蕩。不若秋日雲白風清,蘭芳桂馥,水天一色,上下空明,使人神骨倶清也。
書き下し
春日の気象は繁華なり。人の心神をして駘蕩(たいとう)せしむ。秋日の雲白く風清く、蘭芳しく桂馥(かん)ばしく、水天一色、上下空明にして、人の神骨をして倶に清からしむるに若かず。
現代語訳
春の日の気配は華やかである。人の心と精神をのびのびと緩ませる。秋の日の、雲が白く風が清らかで、蘭が香り桂が薫り、水と空が一色となり、上下が空明で、人の精神と骨をともに清らかにするのには及ばない。
解説
春の華やかさは、心を緩ませる。秋の清らかさは、精神を澄ませる。菜根譚は、緩ませるものより、澄ませるものを取ります。心地よさと、質の向上は別物です。気持ちよく過ごすことと、自分を高めることを、混同しないということです。