菜根譚 / 前集
桃李雖豔,何如松蒼柏翠之堅貞;梨杏雖甘,何如橘綠橙黃之馨冽。信乎,濃夭不及淡久,早秀不如晚成也。
新字:桃李雖豔,何如松蒼柏翠之堅貞;梨杏雖甘,何如橘綠橙黄之馨冽。信乎,濃夭不及淡久,早秀不如晩成也。
書き下し
桃李は艶なりと雖も、何ぞ松蒼柏翠の堅貞なるに如かんや。梨杏は甘しと雖も、何ぞ橘緑橙黄の馨冽なるに如かんや。信なるかな、濃夭は淡久に及ばず、早秀は晩成に如かざるなり。
現代語訳
桃や李は華やかだが、松の蒼さや柏の翠の堅い節操に及ばない。梨や杏は甘いが、橘の緑や橙の黄の香り高い清冽さに及ばない。まことに、濃くて早く枯れるものは、淡くて長く続くものに及ばず、早く咲くものは、遅く成るものに及ばない。
解説
前集を締めくくる一条です。「濃くて早く枯れるものは、淡くて長く続くものに及ばない」。桃李の華やかさより、松柏の常緑。早咲きより、晩成。前集全体を貫く、淡さと持続への信頼が、ここに集約されています。