菜根譚 / 前集
天賢一人,以誨眾人之愚,而世反逞其所長,以形人之短;天富一人,以濟眾人之困,而世反挾其所有,以凌人之貧。真天之戮民哉。
新字:天賢一人,以誨眾人之愚,而世反逞其所長,以形人之短;天富一人,以済眾人之困,而世反挟其所有,以凌人之貧。真天之戮民哉。
書き下し
天は一人を賢にして、以て衆人の愚を誨(おし)えしむ。而して世は反りて其の長ずる所を逞しくし、以て人の短を形(あら)わす。天は一人を富ましめて、以て衆人の困を済わしむ。而して世は反りて其の有する所を挟み、以て人の貧を凌ぐ。真に天の戮民なるかな。
現代語訳
天は一人を賢くして、多くの人の愚かさを教えさせようとする。ところが世の人は、かえって自分の長所を誇り、人の短所を際立たせる。天は一人を富ませて、多くの人の困窮を救わせようとする。ところが世の人は、かえって自分の持ち物を抱え込み、人の貧しさを凌ごうとする。まことに天に罰せられる民である。
解説
私たちは、賢さや才能は他者を導き、助けるために与えられたものだと考えがちです。しかし、実際には自分の長所を誇示し、他者の短所を際立たせる道具にしてしまうことがあります。また、富も困っている人々を救うためにあるはずが、自分の持ち物を囲い込み、貧しい人々を見下す手段として使われることも少なくありません。与えられた恵みを本来の目的と異なる形で使うことは、人間としての本分に反する行為だと言えるでしょう。
この章句が説くこと
天賢一人以誨衆人之愚而世反逞其所長真天之戮民哉