菜根譚 / 前集
語云:「登山耐側路,踏雪耐危橋。」一耐字極有意味。如傾險之人情,坎坷之世道,若不得一耐字撐持過去,幾何不墮入榛莽坑塹哉。
新字:語云:「登山耐側路,踏雪耐危橋。」一耐字極有意味。如傾険之人情,坎坷之世道,若不得一耐字撐持過去,幾何不堕入榛莽坑塹哉。
書き下し
語に云う、「山に登るには側路に耐え、雪を踏むには危橋に耐う」と。一の耐の字、極めて意味有り。傾険の人情、坎坷の世道の如きは、若し一の耐の字を得て撐持し過ぎ去らずんば、幾何ぞ榛莽坑塹に墮入せざらん。
現代語訳
ことわざに「山に登るには険しい脇道に耐え、雪を踏むには危うい橋に耐える」とある。この「耐」の一字は、極めて意味深い。傾き険しい人情、でこぼこの世の道においては、もしこの「耐」の一字を得て支え通り抜けなければ、どうして茨の藪や落とし穴に落ちずにいられよう。
解説
険しい道を通るには、耐えるしかない。回避も、突破もありません。ただ耐えて、通り抜ける。「この耐の一字を得て支え通り抜けなければ」。技術でも才能でもない。耐える力だけが、通過を可能にするのです。