菜根譚 / 前集
議事者,身在事外,宜悉利害之情;任事者,身居事中,當絕利害之慮。
新字:議事者,身在事外,宜悉利害之情;任事者,身居事中,当絶利害之慮。
書き下し
事を議する者は、身は事外に在り。宜しく利害の情を悉くすべし。事に任ずる者は、身は事中に居る。当に利害の慮を絶つべし。
現代語訳
事を議論する者は、身が事の外にある。利害の実情を尽くして知るべきだ。事に当たる者は、身が事の中にある。利害の思慮を断つべきだ。
解説
何かを計画し、議論する段階では、その事柄がもたらすメリットとデメリットを徹底的に洗い出し、あらゆる可能性を考慮すべきです。しかし、いざその計画を実行する立場になったら、もはや損得勘定や個人的な利害の心配は手放し、目の前の任務に全力を尽くすことが求められます。役割に応じて心の持ちようを切り替えるこの教えは、仕事やプロジェクトにおいて非常に重要です。実行段階で迷いや不安に囚われることなく、ただ目標に向かって邁進する姿勢が、最良の結果を生み出す鍵となるでしょう。
この章句が説くこと
議事者身在事外宜悉利害之情任事者身居事中当絶利害之慮利害決断
関連する章句
-
『韓非子』八經第四十八臣主の異利を知る者は王たり、以て同じと爲す者は劫かされ、與に事を共にする者は殺さる。
-
『呻吟語』内篇・應務・利七にして害三君子の大事を動かすは、十利にして一害無ければ、其の之を舉ぐるや必せり。然れども天下に十利の事無し。已むを得ずして其の分數の多寡を權る。利七にして害三なれば則ち吾其の利を全うして其の害を防ぐ。又た其の事勢の輕重を較ぶれば、亦た九害にして一利なる者も之を為す有り。利する所重くして害する所輕ければなり。利する所急にして害する所緩ければなり。利する所得難くして害する所救ふ可ければなり。利する所久遠にして害する所一時なればなり。
-
『十善法語』巻第六・不惡口戒総シテ此人ノ此世ニ在ル。上下貴賤。一人トシテ此ニヨキゾト心ヲ許スコトハナラヌ世界シヤ。若此怠アレハ。此灾其処ニ長スル。事例ヲ挙ハ。周代子弟ヲ封シテ後世ニ微弱ニナリ下ル。秦始皇此ニ懲テ。天下ヲ郡県ニス。後奸臣カ君ヲ欺テ速ニ亡ル。漢ノ高祖カ秦ノ孤立ニ懲テ。子弟ヲ分チ封ス。景帝ノ時ニ至テ。吳楚七国ノ兵起ル。事ノ利ト害ト相依。功ト弊ト相伴フコトカクシヤ。
-
『韓非子』六反第四十六今上下の接は、子父の沢無し、而るに義を行ひて以て下を禁ぜんと欲すれば、則ち交必ず郄有り。且つ父母の子に於けるや、男を産めば則ち相賀し、女を産めば則ち之を殺す。此れ倶に父母の懐袵より出づ、然れども男子は賀を受け、女子は之を殺す者は、其の後便を慮り、之を長利に計ればなり。故に父母の子に於けるや、猶ほ計算の心を用ひて以て相待つなり、而るを況んや父子の沢無きをや。今学者の人主に説くや、皆利を求むるの心を去り、相愛するの道に出でしむ、是れ人主の父母の親に過ぎんことを求むるなり、此れ恩を論ずるに熟せず、詐にして誣ふるなり、故に明主は受けざるなり。
-
孫子・作戦篇兵を用うるの害を尽く知らざる者は、兵を用うるの利を尽く知ること能わず。
-
『十善法語』巻第五・不綺語戒又有道ノ士カ自ノ所得ノ法ヲ文辞ニ寓スル。三祖ノ信心銘。永嘉ノ証道歌。寒山ノ詩。杯度ノ歌。ソノ類多キシヤ。又勧戒ヲ世ニ垂ルルモアル。上古ノ金人銘。鼎銘ノ類。ミナ糸竹管絃ノ比対スヘキトコロニアラス。狂言綺語トハ同日ノ論ニアラスシヤ。法トシテ如是ナレドモ。此綺語ヲモ一向ニ廃セヨト云テハナイ。広ク云ハハ。世間一切事。ミナ利アリ害アル。仮令詩書六経モ時ニヨリテハ其害生スル。囲碁飲酒モ事ニ当テハ少分ノ徳有ル。喩ヘハ一草一木ノミナ能アリ毒アル如クシヤ。人参白朮モ時ニヨリテ害アル。砒礵斑猫モ其病ニ当テハ薬トナル如シヤ。今民間ノ風俗ヲ観ルニ。世僧ノ連歌聯句ヲ習フスラ。ナホ我慢勝他ノ俗態少ク。細民ノ誹諧ナトヲ好ム。ナホ非理ノ口論ニ勇マヌシヤ。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る