菜根譚 / 前集
無事時,心易昏昧,宜寂寂而照以惺惺;有事時,心易奔逸,宜惺惺以而主以寂寂。
書き下し
無事の時は、心昏昧し易し。宜しく寂寂として惺惺を以て照らすべし。有事の時は、心奔逸し易し。宜しく惺惺として寂寂を以て主とすべし。
現代語訳
何もない時は、心が暗く曇りやすい。静かにしながら、はっきりした目覚めをもって照らすべきだ。事がある時は、心が走り出しやすい。はっきり目覚めながら、静けさをもって主とすべきだ。
解説
日常で何もすることがない「無事な時」は、心がぼんやりしがちです。そんな時は、ただ静かに過ごすだけでなく、意識をはっきりと保つ「覚醒」が必要です。一方、仕事や課題に追われる「有事の時」は、心が焦り、散漫になりやすいもの。このような時こそ、冷静な「覚醒」を保ちながら、心の奥に「静けさ」を宿すことが大切です。どちらか一方に偏らず、相反する要素を意識的に取り入れることで、私たちはどんな状況でも心の均衡を保ち、より良い判断や行動へと繋げられるでしょう。
この章句が説くこと
無事時心易昏昧宜寂寂而照以惺惺有事時心易奔逸