菜根譚 / 前集
勤者敏於德義,而世人借勤以濟其貧;儉者淡於貨利,而世人假儉以飾其吝。君子持身之符,反為小人營私之具矣。惜哉。
新字:勤者敏於徳義,而世人借勤以済其貧;倹者淡於貨利,而世人仮倹以飾其吝。君子持身之符,反為小人営私之具矣。惜哉。
書き下し
勤なる者は徳義に敏なり。而して世人は勤を借りて以て其の貧を済(すく)う。倹なる者は貨利に淡なり。而して世人は倹を仮りて以て其の吝を飾る。君子持身の符も、反りて小人営私の具と為る。惜しいかな。
現代語訳
勤勉な者は、徳と義に敏い。ところが世の人は、勤勉を借りて自分の貧しさを救う。倹約する者は、財貨や利益に淡白だ。ところが世の人は、倹約を借りて自分の吝嗇を飾る。君子が身を持する証が、かえって小人が私を営む道具となる。惜しいことだ。
解説
勤勉も倹約も、徳目です。ところが、金儲けのための勤勉、けちを隠すための倹約になっている。同じ行為が、動機で意味を変える。「君子の証が、小人の道具となる」。行為だけを見ても、分からないのです。