菜根譚 / 前集
水不波則自定,鑑不翳則自明,故心無可清,去其混之者,而清自現;樂不必尋,去其苦之者,而樂自存。
新字:水不波則自定,鑑不翳則自明,故心無可清,去其混之者,而清自現;楽不必尋,去其苦之者,而楽自存。
書き下し
水は波あらざれば則ち自ら定まる。鑑は翳(かげ)らざれば則ち自ら明らかなり。故に心は清くすべき無し。其の混(にご)す者を去らば、而ち清は自ら現る。楽は必ずしも尋ぬべからず。其の苦しむ者を去らば、而ち楽は自ら存す。
現代語訳
水は波立たなければ、自ずと静まる。鏡は曇らなければ、自ずと明るい。だから心は、清くする必要はない。濁らせるものを除けば、清らかさは自ずと現れる。楽しみは、必ずしも求める必要はない。苦しめるものを除けば、楽しみは自ずと残る。
解説
心の穏やかさや、日々の喜びは、何か特別なものを外から探し求めたり、無理に作り出したりするものではありません。むしろ、心に波風を立てる心配事や、私たちを苦しめる原因となっているものを取り除くことで、本来持っている清らかさや穏やかさが自然と現れてくるものです。何かを「足す」のではなく、「引く」という発想で、不要なものや負担を手放すこと。それが、より豊かな心の状態へと繋がる道を示しています。
この章句が説くこと
心無可清去其混之者而清自現楽不必尋去其苦之者而楽自存