菜根譚 / 前集
以幻迹言,無論功名富貴,即肢體亦屬委形;以真境言,無論父母兄弟,即萬物皆吾一體。人能看得破,認得真,纔可以任天下之負擔,亦可脫世間之韁鎖。
新字:以幻迹言,無論功名富貴,即肢体亦属委形;以真境言,無論父母兄弟,即万物皆吾一体。人能看得破,認得真,纔可以任天下之負担,亦可脱世間之韁鎖。
書き下し
幻迹を以て言えば、功名富貴を論ずる無く、即ち肢体も亦た委形に属す。真境を以て言えば、父母兄弟を論ずる無く、即ち万物も皆な吾が一体なり。人能く看得破り、認得真ならば、纔めて以て天下の負担に任ずべく、亦た世間の韁鎖を脱すべし。
現代語訳
幻の跡から言えば、功名富貴は言うまでもなく、手足すらも仮に託された形にすぎない。真の境地から言えば、父母兄弟は言うまでもなく、万物もみな自分と一体である。人がこれを見破り、真実を認められれば、初めて天下の重荷を担うことができ、また世間の鎖から脱することができる。
解説
名声や富はもちろん、自分の体さえも一時的に借りているものだと捉える視点があります。一方で、家族や友人だけでなく、この世のあらゆるものが自分と一体であるという真実もあります。この二つの視点を持つことで、私たちは何かに執着することなく、しかし無関心になることもなく、人生の重荷を引き受け、世間のしがらみから自由になれるでしょう。すべては自分のものではないが、すべてとつながっている。この認識が、私たちを真に強くします。
この章句が説くこと
即肢体亦属委形即万物皆吾一体看得破認得真克己
関連する章句
-
菜根譚・前集功業を誇逞し、文章を炫耀するは、皆な是れ外物に靠(よ)りて人と做(な)るなり。知らず、心体は瑩然として、本来失せず。即ち寸功隻字無きも、亦た自ら堂堂正正、人と做る処有るを。
-
菜根譚・後集一身に就きて一身を了する者は、方に能く万物を以て万物に付す。天下を天下に還す者は、方に能く世間を世間に出づ。
-
菜根譚・前集人心一たび真なれば、便ち霜も飛ばすべく、城も摧くべく、金石も貫くべし。若し偽妄の人は、行骸は徒らに具わるも、真己は已に亡ぶ。人に対せば則ち面目憎むべく、独居すれば則ち形影自ら媿ず。
-
菜根譚・後集世人は只だ我の字を認得すること太(はなは)だ真なるに縁る。故に種種の嗜好、種種の煩悩多し。前人云う、「復た我有るを知らずんば、安くんぞ物の貴と為るを知らん」と。又た云う、「身は是れ我に非ずと知らば、煩悩は更に何ぞ侵さん」と。真に破的の言なり。
-
菜根譚・後集纏脱は只だ自心に在り。心了せば、則ち屠肆糟廛も、居然として浄土なり。然らずんば、縦い一琴一鶴、一花一卉、嗜好は清しと雖も、魔障は終に在り。語に云う、「能く塵境を休すれば真境と為り、未だ了せざる僧家は是れ俗家なり」と。信なるかな。
-
菜根譚・後集物欲に覊鎖(きさ)せらるれば、吾が生の哀しむべきを覚ゆ。性真に夷猶すれば、吾が生の楽しむべきを覚ゆ。其の哀しむべきを知らば、則ち塵情立ちどころに破れ、其の楽しむべきを知らば、則ち聖境自ら臻(いた)る。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る