菜根譚 / 前集
貞士無心徼福,天即就無心處牖其衷;憸人著意避禍,天即就著意中奪其魄。可見天之機權最神,人之智巧何益。
新字:貞士無心徼福,天即就無心処牖其衷;憸人著意避禍,天即就著意中奪其魄。可見天之機権最神,人之智巧何益。
書き下し
貞士は心に福を徼(もと)むる無し。天は即ち無心の処に就きて其の衷を牖(みちび)く。憸人(けんじん)は意を著けて禍を避く。天は即ち著意の中に就きて其の魄を奪う。見るべし、天の機権は最も神なり。人の智巧は何ぞ益あらん。
現代語訳
正しい士は、心に福を求めない。天は、その無心なところに就いて、その心を導く。よこしまな人は、意を凝らして禍を避けようとする。天は、その意を凝らす中に就いて、その魂を奪う。分かるだろう。天の働きは最も霊妙である。人の小賢しさに、何の益があろう。
解説
福を求めない人に、福が来る。禍を避けようと必死な人に、禍が来る。皮肉ですが、道理はあります。求めれば無理をし、避けようとすれば不自然になる。「人の小賢しさに、何の益があろう」。工夫が、かえって道を塞ぐのです。