菜根譚 / 前集
清能有容,仁能善斷;明不傷察,直不過矯。是謂蜜餞不甜,海味不鹹,纔是懿德。
新字:清能有容,仁能善断;明不傷察,直不過矯。是謂蜜餞不甜,海味不鹹,纔是懿徳。
書き下し
清くして能く容るる有り。仁にして能く善く断ず。明にして察を傷らず。直にして矯に過ぎず。是を蜜餞は甜(あま)からず、海味は鹹(から)からずと謂う。纔(はじ)めて是れ懿徳なり。
現代語訳
清らかでいて、なお受け入れる度量がある。仁でいて、なお善く決断できる。明晰でいて、詮索しすぎない。まっすぐでいて、矯正しすぎない。これを、砂糖漬けが甘すぎず、海の幸が塩辛すぎない、というのだ。それでこそ美しい徳である。
解説
清らかでありながらも、様々なものを受け入れる度量がある。誠実でありながらも、的確な判断ができる。物事をはっきりと見極めつつも、詮索しすぎて相手を傷つけない。そして、まっすぐな心を持ちながらも、他人を無理に矯正しようとしない。これらは、まるで甘すぎない砂糖漬けや、塩辛すぎない海の幸のように、それぞれの良い性質が絶妙なバランスで保たれている状態です。偏りなく、複数の美点を兼ね備えることこそが、真に豊かな人間性を育むと言えるでしょう。
この章句が説くこと
清能有容仁能善断蜜餞不甜海味不鹹纔是懿徳
関連する章句
-
菜根譚・前集身を持するには太(はなは)だ皎潔なるべからず。一切の汚辱垢穢、些かを茹納するを要す。人に与するには太だ分明なるべからず。一切の善悪賢愚、包容し得るを要す。
-
菜根譚・前集徳は量に随いて進み、量は識に由りて長ず。故に其の徳を厚くせんと欲せば、其の量を弘めざるべからず。其の量を弘めんと欲せば、其の識を大にせざるべからず。
-
菜根譚・前集人を責むる者は、過ち有るの中に過ち無きを原(たず)ねば、則ち情平らかなり。己を責むる者は、過ち無きの内に過ち有るを求めば、則ち徳進む。
-
菜根譚・前集文章、極処に做到すれば、他の奇有るは無し。只だ是れ恰好なり。人品、極処に做到すれば、他の異有るは無し。只だ是れ本然なり。
-
菜根譚・前集気象は高曠なるを要す。而して疎狂なるべからず。心思は縝密なるを要す。而して瑣屑なるべからず。趣味は沖澹なるを要す。而して偏枯なるべからず。操守は厳明なるを要す。而して激烈なるべからず。
-
菜根譚・前集倹は美徳なり。過ぎて倹なれば則ち慳吝と為り、鄙嗇と為る。反りて雅道を傷る。譲は懿行なり。過ぎて譲れば則ち足恭と為り、曲謹と為る。多く機心を出だす。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る