菜根譚 / 前集
春至時和,花尚舖一段好色,鳥且囀幾句好音。士君子幸值清時,復遇溫飽,不思立好言,行好事,雖是在世百年,恰似未生一日。
新字:春至時和,花尚舖一段好色,鳥且囀幾句好音。士君子幸值清時,復遇温飽,不思立好言,行好事,雖是在世百年,恰似未生一日。
書き下し
春至りて時和し、花は尚お一段の好色を舖き、鳥は且つ幾句の好音を囀る。士君子、幸いに清時に値(あ)い、復た温飽に遇う。好言を立て、好事を行うを思わずんば、是れ世に在ること百年なりと雖も、恰も未だ一日も生まれざるに似たり。
現代語訳
春が来て気候が和らげば、花もひとしきり美しい色を敷き、鳥も幾節か美しい声で囀る。士君子が、幸いにも清らかな時代に生まれ、暖衣飽食に恵まれる。それなのに良い言葉を立て、良い事を行うことを思わなければ、世に百年生きても、一日も生まれなかったのと同じである。
解説
花も鳥も、春が来れば、それぞれの美しさを差し出す。人が、恵まれた時代に生まれ、食うに困らないのに、何も差し出さない。「一日も生まれなかったのと同じ」。生きた年数ではなく、何を差し出したかが問われるのです。