菜根譚 / 前集
春至時和,花尚舖一段好色,鳥且囀幾句好音。士君子幸值清時,復遇溫飽,不思立好言,行好事,雖是在世百年,恰似未生一日。
新字:春至時和,花尚舖一段好色,鳥且囀幾句好音。士君子幸値清時,復遇温飽,不思立好言,行好事,雖是在世百年,恰似未生一日。
書き下し
春至りて時和し、花は尚お一段の好色を舖き、鳥は且つ幾句の好音を囀る。士君子、幸いに清時に値(あ)い、復た温飽に遇う。好言を立て、好事を行うを思わずんば、是れ世に在ること百年なりと雖も、恰も未だ一日も生まれざるに似たり。
現代語訳
春が来て気候が和らげば、花もひとしきり美しい色を敷き、鳥も幾節か美しい声で囀る。士君子が、幸いにも清らかな時代に生まれ、暖衣飽食に恵まれる。それなのに良い言葉を立て、良い事を行うことを思わなければ、世に百年生きても、一日も生まれなかったのと同じである。
解説
春が訪れれば、花は美しい色を咲かせ、鳥はさえずりで喜びを表現します。この教えは、人間もまた、恵まれた環境にいるならば、その恩恵を享受するだけでなく、良い言葉を発し、良い行いをすることで、社会や他者に貢献すべきだと説きます。もし、衣食住に困らず、平和な時代に生きながら、何も生み出さず、誰にも良い影響を与えずに一生を終えるなら、たとえ百年生きたとしても、一日も生まれてこなかったのと同じだというのです。単に長く生きることではなく、その人生で何を「差し出したか」が問われる。私たちに、自分の存在意義や社会との関わり方を深く考えさせる一節です。
この章句が説くこと
花尚舖一段好色鳥且囀幾句好音雖是在世百年恰似未生一日
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